資生堂クレ・ド・ポー ボーテ ムースネトワイアントC(2016)の解析 | 化粧品犬が化粧品開発を模索するブログ

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大手会社の開発に勤務していましたが、好きな化粧品を好きなだけ追求するため円満退職。
ノラ犬となった化粧品犬が、面白いと思った情報を発信していくブログです。
化粧品コンサルタントとして仕事も受けています。
パームアミノ・ラボ合同会社 imori@palmamino-labo.jp

化粧品犬です。

 

忙しくて更新がまばらにになって、申し訳ない。

 

昨日、仕事が一山越えたので久しぶりに更新します。

 

といっても次の山(締め切りという名の山)が目前(^_^;)

なので今回は、自分の勉強を、丸出ししていくスタイルで(^_^;)、書いていきます。

申し訳ありませんが、お付き合いください。

今回はこの1回で完結です。

 

 

最近洗顔フォームを頼まれる事がありまして。

化粧品犬は出身が味の素という事もあり、アミノ酸系洗顔フォームを提供する事が多いのです。

アミノ酸系洗顔フォームフォームは、処方を作れる人が滅多にいないので、非常に喜ばれたりします。

 

しかし大体その次は、「次は石けん系の洗顔フォーム作ってね〜」となるんですよ。

石けん系の洗顔フォームってのは、脂肪酸主剤で作られる洗顔フォームです。

洗顔フォームってのは、実はアミノ酸系洗浄剤が主剤で作られるアミノ酸系洗顔フォームか、石けん系の洗顔フォームしかありません。

自然な流れではあるのですが・・・

化粧品犬は、実は石けん系の洗顔フォーム・・・作ったことがありません(^_^;)

いや作ったことはあるけど、処方を考えた事は無い。

 

そんなわけで勉強のため商品を解析してみる事にしました。

どうせなら高級品がよじゃろうと言うわけでセレクトしたのが、今回取りあげる、資生堂のクレ・ド・ポー ボーテ ムースネトワイアントCです。

分かりにくいけどクレ・ド・ポーの洗顔フォームです(^_^;)

 

クレ・ド・ポーの普通の洗顔フォームは、2種類あって

 1.ムースネトワイアントC(クリアタイプ)

 2.ムースネトワイアントA(保湿タイプ)

のように分かれています。

クレ・ド・ポーは古いブランドですが、この2製品は比較的最近リニューアルされていました(2016年リニューアル)

 

ネトワイアントというのはフランス語で、英語ではCleaner(クリーナー)に相当する単語です。

あと、ムースとなっていなすが、実際にはムース状で無く普通の洗顔フォームです。

 

今回はムースネトワイアントCをチョイスしました。

 

処方を作る観点から、ざっくり簡単に解析して行きます。

ついでに2のムースネトワイアントAも、簡単に抑えていきます。

 

ではまず、ムースネトワイアントCの全成分を書き出します。

 

(ムースネトワイアントCの全成分)

水,ミリスチン酸,グリセリン,ステアリン酸,水酸化K,ソルビトール,DPG,ラウリン酸,PEG-6,PEG-32,ジステアリン酸グリコール,ステアリン酸グリセリル(SE),結晶セルロース,ココイルメチルタウリンNa,トレハロース,PEG/PPG-14/7ジメチルエーテル,ポリクオタニウム-39,メントール,シャクヤク根エキス,シルク,セリン,ダイヤモンド末,アセチルヒアルロン酸Na,ポリクオタニウム-51,加水分解シルク,加水分解コンキオリン,イソステアリン酸PEG-60グリセリル,ポリグリセリル-4ラウリルエーテル,EDTA-2Na,BG,パール,トコフェロール,テアニン,安息香酸Na,安息香酸,フェノキシエタノール,香料,酸化鉄

 

 

また、いつものように裏面を整理します。

 

今回は、同時にリニューアルされた、ムースネトワイアントA(保湿タイプ)(2016年)の裏面表示も整理し、ムースネトワイアントC(クリアタイプ)(2016年)と併記してみました。

 

原料の機能毎にパート分けし、パート内の表記順番は裏面のまま変えずに記入しています。また共通の成分についてはできる限り近づけて書いていますが、場合によって近くに書けない場合もあります。

 

こんな感じになりました。

 

まず針状剤のパートを見ると今回取りあげるCの方は、多い方からミリスチン酸、ステアリン酸、ラウリン酸の順になっています。

この3つは、泡だちの面では

  ラウリン酸>ミリスチン酸>ステアリン酸

であり、特にラウリン酸が飛び抜けて泡立ちがいいのですが、一番刺激が強い洗浄剤でもあります。

この量をどの程度に抑えるかが、洗顔フォームも処方のポイントになります。

また出来る洗顔フォームの硬さを考えると、

  ステアリン酸>ミリスチン酸>ラウリン酸

の順になり、ステアリン酸が多すぎると硬くてぼそぼそのものになり、ラウリン酸が多いと粘度が緩く、液体に津かくなります。なので洗顔フォームは、そのバランスが大切になります。

 

ここからはちょっとお難しくなります(^_^;)

洗顔フォームになる脂肪酸量を考えると、ミリスチン酸+ステアリン酸の合計で、で10〜30%ぐらいでしょう。これより多いとボソボソになってしまいますし、少ないとクリーム状になりません。間を取って16%とし、またミリスチン酸と[ステアリン酸の分子量はそれほど大きな違いは無いので、ミリスチン酸にあわせ228とします。

これを中和する水酸化Kの量は水酸化Kの分子量が56なので、16×56/228=3.9(%)となり、四捨五入して4%となりますね。

この水酸化K=4%を、最初に上げた(ムースネトワイアントCの全成分)の水酸化Kに当てはめると、「水酸化K,ソルビトール,DPG,ラウリン酸」の順に並んでいるので、ラウリン酸の配合量は4%以下。

ソルビトール,DPGの後なので、おそらく2〜3%配合と言うことが分かります。

ラウリン酸の後は、(ムースネトワイアントCの全成分)では、「ラウリン酸,PEG-6,PEG-32,ジステアリン酸グリコール」と続くのですが、このジステアリン酸グリコール(パール化剤)は大体2%ぐらい配合されることが多く、これもラウリン酸は2〜3%配合と言うことと整合性が取れています。

 

というわけで洗浄剤組成は

 ミリスチン酸+ステアリン酸  16%±4

 ラウリン酸         2.5%±0.5

 ココイルメチルタウリンNa   1%以下

ということが分かります。

 

面白いのはミリスチン酸+ステアリン酸の内訳で。

ネトワイアントA(保湿タイプ)とネトワイアントC(クリアタイプ)を較べると、ネトワイアントA(保湿タイプ)はステアリン酸が多く、ネトワイアントC(クリアタイプ)は逆にステアリン酸が少なくなっているんですよね。

この2製品、ここ以外は大きな違いは無いです(^_^;)

つまりしっとりタイプの洗顔フォームを作るときはステアリン酸を増やす、のが資生堂のやり方な訳です。

これがとても興味深い。

ただステアリン酸が多くなると、どうしても硬くなり泡立ちが悪くなるのですが、それを補うために、ネトワイアントA(保湿タイプ)にはラウリルベタイン(シャンプーなどで使われることの多い両性洗浄剤)が追加されていますね。

 

ここまでで処方の基本が決まってしまいます。

なので後は簡単に、気になる原料を説明して行きますね。

 

次はオイル類のパート。

ジステアリン酸グリコールは、パール光沢のでる固形油。

ステアリン酸グリセリル(SE)は弱い乳化力のある固形油です。これで全体を滑らかにまとめています。

 

粉体のパート。

結晶セルロースが配合されています。歯磨きとかに使われているやつですね。

 

 

最後に保湿剤コンディショニング剤のパート。

資生堂らしくPEG-6とかPEG-32十かがやたら使われていますが、これらはグリセリンやソルビトールの仲間的な位置付けで使われていて、クリーム状に析出をさせるために使われているものです。

 

また資生堂らしくPEG/PPG-14/7ジメチルエーテルも使われていますね。これはアネッサでもアクアブースター技術のキー成分として配合されていたものです。最近オン資生堂製品では、本当に何でも入っているのです。

 

説明は以下の公式をどうぞ。

アクアインプールl

 

これで終了です。

 

化粧品犬の[勉強にお付き合いくださり、ありがとございました(^_^;)

しかしクレドポーって高いですねアマゾンで6000円ぐらいしました。

悪い製品ではないが、、、さすがに、ぼったくりすぎ(^_^;)