(1006回)

佐西浦海極楽寺


兵之助は
與吉と一緒に
極楽寺山に

極楽寺山写真

登ったのじゃ

極楽寺山には
大きな池があり
大蛇が住んでいるという事じゃ

蛇の池


それで二人は大蛇の話をしながら
極楽寺を目指して

登り続けたのじゃ



それでな

やっと極楽寺の最後の

石段にたどり着いたのじゃ


石段の上は真っ青な空が

見えたのじゃ

極楽寺石段


杉の木が茂っていた

仁助顔2

石段の下は
少し薄暗かったのじゃ


目の前に見える
極楽寺の本堂は
眩いほど光り輝いて見えた

極楽寺



二人で
本堂で拝んでいると

「何処から来たのじゃ」

びっくりして
振り向くと


後ろに和尚が立っていた

「佐方村から来ました」

と與吉が答えた


「二人で来たのか?」

「はい そうです」


今度は
兵之助が手拭いで
汗を拭きながら答えた


「そうか  こちらに来なさい
氷水を上げよう」


「えっ 氷水?」
兵之助は驚いた


家の周りでは
梅が咲いて
桜が今にも咲きそうだというのに


兵乃助は
不思議に思った

こんなに
暖かいのに
氷があるんか


與吉が答えた
爺さんが
言いよった


蛇の池は冬になると
びっしりと氷が張るんじゃ

その氷を
切り出して氷室に入れておいて

夏に氷を
殿様に献上していたんじゃ
そうな


和尚から氷水を頂いて
汗が止まった二人は


釣鐘堂から
登ってきた方を覗いた



やはり
佐西の浦の海は
ぎらぎらと光り輝いていた

佐西浦海


厳島の向こうに大黒神島は
はっきりと見えた


手前には
絵の島その後ろに

大奈佐美島その後ろに
能美島


兵之助は
知っている島々全てが
手に取るように見え
興奮した


その時
兵之助の鋭い
物事を正確に掴む
観察力と洞察力が

育っていようとは
誰も知る由も無かった




今日は

ここまでじゃ

・・・・・・・・・・・・・
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谷口薫