もう随分と昔の話になる。
当時25歳の私は、オナニーのお供としてライブチャットサイトを使っていた。
ライブチャットサイトとは、スマホやPCを通して女の子と一緒に通話をしたり、一緒にオナニーをしたりするサービスのことだ。
オンラインキャバクラやオンラインセックス、オナ電など呼び方はさまざまある。
このサービスを使ったきっかけは、エロ動画サイトをみていたときにたまたま表示された広告だった。
間違ってタップしてしまったのだが、表示された広告が魅力的で、まんまと登録してしまった。
完全にサイト側の思惑にハマってしまったわけだが、今となればもうそんなことはどうでもいい。
最初は無料ポイントで10分程度女の子と話をしただけだったが、それが楽しかった。
もちろん相手は、ライブチャットのプロなわけで、短時間で男性を楽しませるテクニックを身に着けているのだと思う。
それがテクニックだったとしても、私が楽しめたことには変わりはない。また使ってみたいと思ってしまった。
以降、週に2回程度仕事終わりにライブチャットサイトにログインをして、女の子と話をしたり、オナニーをしたりして楽しむようになった。
料金はそれなりにかかった。毎月10,000円~20,000円程度は課金していたと思う。
相手の女の子は仕事で服を脱いで、仕事でオナニーをしているのは分かっていたのだが、ガチ恋することもあった。
DMを送ったり、通話中にこっそり口説いてみたりもしたが、毎回「運営さんにBANされるから」というのが彼女たちの定番の断り文句だった。
そんなことを繰り返すうちに、ライブチャットサイトで女の子を口説くことをしなくなっていた。単純に会話を楽しみ、オナニーのおかずとして利用していた。
しかしあるとき、妙に話の合う女の子と出会ってしまった。
当然彼女もライブチャットで客を獲得するための話術を身に着けていただろうし、当然他の客にも私と同じような会話で盛り上がっていたと思う。
それでも、いつもと何かが違う感覚があった。ライブチャット内での会話では、まるで恋人同士になる前のような会話が繰り広げられていた。
例えば、恋人はいるのかどうか、どんな人がタイプなのか、どんな恋愛をしてきたのか、などなど。
最初の方は「これは疑似恋愛だ」と頭の中では分かっていたのだが、ついに歯止めが利かないようになってきた。
なぜなら、彼女の方から「連絡先を教えてほしい」といってきたからだ。
私は、連絡先を交換したものの、警戒心が強くなった。
今まで女の子から連絡先を教えてほしいと言われたことは一度もなかったし、何よりめちゃくちゃ可愛い女の子だったからだ。
もし、クラスメイトにいたならば、クラスのマドンナどころか学校内のマドンナと言ってもおかしくない。
それくらい可愛い女の子だった。だからこそ私は警戒した。
もしかしたら、美人局に遭うかもしれない。もしかしたら、詐欺事件に巻き込まれるかもしれない。
彼女とのやり取りは楽しかったが、警戒心を解くことはなかった。
やがて、エッチを目的に合うことになった。
私は期待10%、危険90%くらいの心持ちで彼女に会うことにした。
食事の場所はホテルは私の方で指定し、必要最低限の現金だけをもって待ち合わせ場所に向かった。
一緒に食事をしても、特に怪しいそぶりはない。また、私を何かに勧誘するような話題にもならない。
私は「目の前の可愛い子と本当にセックスができるかもしれない」と思うようになった。
ホテルに入るときがきた。
「じゃあ、いこうか」と彼女は笑いながら私の手を引いた。
当然私は警戒心を解いたわけではない。ドアの向こう側には屈強な男性が3人ほど待機している可能性だってある。
しかし、そんな私の不安は杞憂に終わった。
結論、私はライブチャットサイトで出会った可愛い子とセックスをした。体の相性も良かったので3回もしてしまった。
セックスが終わったあと、彼女はすっきりした顔で「楽しかった!また会おうね!」といった。
ただ、二人のやり取りはこれで最後となった。なぜなら、彼女から返信が返ってくることはもう二度となかったからだ。
きっかけのライブチャットサイトを除いてみても彼女の姿はなかった。
今思えば随分と不思議な体験だったと思う。
以降私は、ライブチャットサイトを使わなくなった。オナニーの代わりにネットナンパに目覚めてしまったからだ。
ワクワクメールやハッピーメールなどのサイトに登録して、ワンナイト狙いで女の子を食い漁った。
幸いなことにネット上にノウハウはたくさん落ちていたので、出会いに苦労することは全くなかった。
印象深い経験をすることもあったが、ライブチャットサイトで出会ってセックスした体験を超えるものはなかった。