君に触れたわけ

君に触れたわけ

  好きなこと、好きなだけ




弟くんの名前は一度変わっている。
それを知っているのは今のご両親と僕、ひょっとしたらあの人。


本人には言ったことがないからどうなんだろうなとは思っていたけど、
こないだショッピングモールで同じ名前をした子どもの名を親が呼んでいるのを、その親子連れを、
あからさまにびくっとして目を凝らすように見ていたから多分覚えているんだろう。


混乱しなかったのかな。
そもそも僕が兄だとどうしてわかったんだろう。



弟くんには聞きたいけど聞いてはいけない事がたくさんあって
それでも眠れないからと僕に巻き付くようにくーすか寝ている様を見ると愛おしいのでどうでもいいかと思ってしまう。


ところが鯨井さんはこの愛おしさを別の方向でとらえているようで。
これは口で説明しなければならないと思うが、口下手さも相まってどう説明したら良いものかわからず。




今日も鯨井さんの選んだ寝具は寝心地が悪い。
鯨井さんの傍は居心地が悪い。