研究概要

  • 男性の顔の赤みが増すと、女性からの魅力度評価が上昇

  • 効果は見た目の健康度の増加によって説明可能。

  • 研究結果は学術誌**Perception(2016)**に掲載。

実験方法(ロチェスター大学)

  • 女性108名がオンライン調査に参加。

  • 6名の男性の平均顔画像を使用し、赤みを操作した画像の魅力度を比較。

  • 平均顔を使用することで、個人差(鼻の高さなど)の影響を排除

結果:赤みが魅力度を上げる要因

  • 顔の赤みが増すほど、女性は男性をより魅力的と評価。

  • 赤みの増加は、見た目の健康度を上昇させることが確認された。

  • 赤みの増加は誠実性の上昇政治的保守性の低下などの印象変化も誘発。

  • ただし、魅力度上昇の主因は健康度の高さであり、その他の印象は仲介要因ではない

研究の結論

  • 男性の顔の赤みは魅力度を高める要因として有効。

  • 効果は女性のみならず、男性でも見られる現象。

  • 魅力度上昇は主に健康シグナルの強化として説明できる。

顔の赤みを増やす2つの方法(研究ベース)

1:βカロテンの摂取(長期的効果)

  • βカロテンはニンジン・かぼちゃ・スイカ・サツマイモ・ほうれん草などに含まれる色素。

  • 西オーストラリア大学(2017)の研究:男性43名が12週間βカロテンを摂取。

  • 結果:

    • 顔の赤みが上昇。

    • 見た目の健康度と魅力度が上昇

  • 作用は健康の実態ではなく、見た目の健康シグナルを強調する点が特徴。

2:少量のアルコール摂取(短期的効果)

  • ブリストル大学(2015)の研究:男女20名を対象に魅力度を比較。

  • 最も魅力的と評価されたのは、体重1 kgあたり0.4 gのアルコール摂取時。

  • 理由:アルコールによる血流増加で顔が赤くなるため。

  • 目安:体重70 kg → ビール大ジョッキ1杯またはワイングラス2杯程度。

補足

  • 過剰なアルコール摂取は対象外であり、研究は少量の摂取についての検証のみ。

  • βカロテン摂取の効果はサプリ使用時でも確認されている。

研究概要

  • 励ましの言葉の評価を、学童・大学生・心理セラピストに対して調査。

  • 共通して高評価となる言葉は存在しないという結果を確認。

  • 評価基準は個々の性格特性に依存し、一貫したパターンは見られなかった。

学童(10〜15歳)の調査結果

  • 300名が参加し、6種類の励ましの言葉を評価。

  • 対象状況はテスト失敗仲間外れなどの落ち込み場面。

  • 高評価が共通する言葉はなし

  • 評価は子ども自身の性格傾向により大きく変動。

大学生の調査結果

  • 54名が、複数状況で96種類の言葉を評価。

  • 言葉は性格特性(例:楽観性仲間意識など)に作用するよう設計。

  • 結果は、特定の言葉に対する評価の一致はなし

  • 評価は個々の性格特性と強く結びつく。

心理セラピストの評価結果

  • 33名がカウンセリング映像を観て評価。

  • 結果は同様で、評価は観察者の個性に強く依存

  • 専門家間でも、効果的と判断する言葉に共通項はなし

研究の結論

  • 万人に通用する励ましの言葉は存在しない

  • 励ましの効果は「誰が」「どんな性格で」「どの状況で」受け取るかによって変動。

  • 不適切な励ましは逆効果となる可能性あり。

■焦げと発がん性の基本情報

  • 焦げ=必ずがんになるという科学的根拠は確立していない。

  • アメリカ国立がん研究所(NCI)のラシミ・シンハ氏が焦げとがんの関連を科学的に解説。

  • 焦げはメイラード反応により生成され、旨味・香ばしさを生む一方で発がん性が疑われる物質も生成される。


■焦げができる仕組み(メイラード反応)

  • 食材中のタンパク質と糖が加熱で反応し褐色物質を形成。

  • 食材の香ばしさ・風味向上に寄与。

  • 同時に、特定条件で発がん性が疑われる化合物が生成される。


■焦げに含まれる発がん性が疑われる物質

  • ①HCA(ヘテロサイクリックアミン):主に肉の高温加熱で生成。

  • ②PAH(多環芳香族炭化水素):肉の脂が炎に落ちて発生する煙などから付着。

  • ③アクリルアミド:パン、フライドポテト、コーヒー、焼き菓子などで生成。

■動物実験で確認された事実

  • HCA・PAH:2004年のサル実験で発がん性が確認

  • アクリルアミド:2015年のマウス実験で発がん性が確認

  • いずれもDNA損傷・突然変異を誘発する可能性がある。


■人間では「発がん性が断定できない」理由

  • 倫理的に、ヒトへ発がん物質を投与する臨床試験は不可能。

  • 観察研究は10〜20年規模の追跡が必要で、摂取量の差・生活習慣の差が大きく、因果関係を断定しにくい。

  • 既存研究は結果が一貫しない(リスクほぼなし〜リスク増加まで幅がある)。

  • 日常で摂取する焦げの量がごく少量で、影響が統計的に明瞭化しづらい。


■リスク軽減のための実践的ポイント

  • 高温調理(焼く・揚げる)の頻度を下げる

  • 肉・野菜・パンを過度に黒く焼かない

  • トースト・揚げ物は黄金色〜薄褐色で止める。

  • 真っ黒な焦げ=交換のサインとして判断。

  • 焼く以外の調理法(蒸す・煮る・低温調理)を併用。


■まとめ

  • 焦げには発がん性が疑われる化学物質が含まれる事実がある。

  • しかしヒトでの発がんリスクは確定していない

  • 現時点で最も合理的な対策は、真っ黒な焦げを避けることに集約される。

■研究概要

  • カリアリ大学(イタリア)2024年に実施したラット研究で、アルコール+エナジードリンク混合脳に長期的な悪影響を与える可能性が示された。

  • 研究成果は**2024年5月『Neuropharmacology』**に掲載。

  • 対象は生後28日の若齢ラットで、成長後の行動・記憶・神経可塑性の変化を評価。


■アルコール×エナジードリンクの特徴

  • アルコールの鎮静作用と**エナジードリンクの覚醒作用(高濃度カフェイン等)**が相殺される。

  • 自覚的な酩酊感が低下し、飲酒量が増加しやすい

  • 2010年、FDA/FTCはエナジードリンク入りアルコール飲料に健康リスクの警告を発出。

  • 市場から撤退後も、混合カクテル(例:レッドブルウォッカ)が継続的に消費されている。


■実験条件

  • 与えた飲料:

    • 20%アルコール

    • 高カフェイン飲料(レッドブル)

    • その混合液

  • 投与期間:生後28日〜37日。

  • 評価項目:

    • 活動量

    • 記憶能力(新規物体認識)

    • シナプス可塑性

    • BDNF(脳由来神経栄養因子)濃度


■主要結果

  • エナジードリンクのみ

    • 活動量が増加。

    • 記憶課題で成績低下

  • アルコール+エナジードリンク混合群

    • 生後40日:シナプス可塑性が上昇

    • 生後60〜90日:シナプス可塑性が低下

    • BDNF:

      • 生後40日:上昇

      • 生後60日:低下

  • 長期的には、海馬(記憶形成領域)の可塑性が低下し、学習・記憶機能へ悪影響を及ぼす可能性が示唆された。


■科学的示唆

  • 若年期の摂取が脳の発達に重大な影響を与える可能性。

  • 混合摂取は短期的に脳活動を高める一方、長期的には持続的な神経損傷を伴う可能性

  • 覚醒剤成分(カフェイン等)とアルコールの同時摂取は、危険性が医学的に一貫して指摘されている。

■脳による沈黙の知覚

  • ジョンズ・ホプキンズ大学の研究で、脳が沈黙を音と同様に知覚している可能性が示された。

  • 沈黙は「音がない状態」ではなく、聴覚的刺激として処理されると推定された。

  • 研究成果は**2023年7月10日付『PNAS』**に掲載。


■研究手法と理論背景

  • 検証には音の錯覚で知られるワン・イズ・モア錯覚を使用。

  • 一つの長い音と同じ長さの二つの音を比較すると、前者を長く感じる現象を利用。

  • 研究チームは音部分を沈黙に置換して実験を計画。


■沈黙を用いた錯覚実験

  • 1000名が参加。

  • 条件:雑音環境下で1つの長い沈黙2つの短い沈黙を提示。

  • 実際の長さは同一にもかかわらず、多数が1つの沈黙の方を長く知覚

  • 結果は、沈黙でも音と同様の錯覚が生じることを示した。


■脳の処理メカニズムの示唆

  • 錯覚が成立したため、沈黙は音情報と同様の聴覚処理を受けていると推論。

  • 研究者は、沈黙は「音の欠如」ではなく、認知される対象として存在すると結論付けた。

  • 沈黙は聴覚処理の「不在刺激」を研究するための新たな実験手法として有効。


■今後の研究課題

  • 実際の生活環境で、沈黙がどの程度聴覚的に知覚されているかの検証。

  • 視覚刺激の消失人物の不在など、他の「不在の知覚」への応用を計画。

■研究概要

  • テキサスA&M国際大学の研究で、女性は胸が大きい同性に対して攻撃性が高まる傾向が報告された。

  • 調査結果は**2024年6月26日『Sexes』**に掲載。

  • 研究目的は、女性がどのような特徴をもつ同性を性間競争のライバルとみなすかを検証すること。


■調査対象と実験条件

  • 参加者:114名の女性(平均23歳)、全員未婚、全員異性愛者。

  • 胸のサイズ4種(A・B・C・D)下垂レベル3種(なし・低い・高い)を組み合わせた12枚の画像を提示。

  • 評価指標:

    • 直接的口頭攻撃(怒鳴る・悪口)

    • 間接的口頭攻撃(陰口・中傷・噂)

  • いずれも1〜7段階で評価。


■主要結果

  • 攻撃性が最も高まるのはDカップの同性

  • 次にCカップが続き、A・Bカップは攻撃対象になりにくい

  • 胸の下垂レベルは攻撃性と無関係

  • 参加者自身のもともとの攻撃性傾向(ICS値)も結果と無関係

  • 相手をライバル視する判断は、個々の性格よりも胸の大きさという特徴に強く依存している。


■示唆と限界

  • 女性の性間競争では、身体的アピール強度(胸の大きさ)が敵視の基準となる可能性がある。

  • 限界点:

    • 参加者の文化・年齢が限定的(ヒスパニック系中心)。

    • 顔・身長・服装・メイクなど、他のアピール要因を未考慮。

    • 画像が胴体のみで、全体評価を再現できない可能性。

  • 研究チームは今後、文化圏・身体条件を拡大した追加研究を予定。

■与える行動の持続的効果

  • 他者に与える行動は、受け取る行為より長期間幸福感が維持されると判明。

  • 幸福が徐々に薄れる快楽順応が、与える場合は起きにくいと報告。

  • 与える行動は、社会的つながりの強化につながり、幸福感の維持に寄与。


■大学生対象の金銭使用実験

  • 対象:96名の大学生

  • 期間:5日間、毎日5ドルを使用。

  • 条件:

    • 自己使用グループ

    • 他者のために使用グループ

  • 結果:

    • 自己使用では幸福度が日ごとに低下

    • 他者使用では幸福度が安定し、初日と同水準を維持


■オンライン実験の結果

  • 対象:502名

  • 条件:ワードパズルで得た賞金を自己取得または慈善寄付で選択。

  • 結果:

    • 自己取得では幸福低下が急速

    • 寄付では幸福低下が緩やかで、長期的な幸福感を維持。


■快楽順応の差異

  • 受け取る行為は成果(結末)を比較しやすく、順応が早い。

  • 与える行為は行動そのものを経験し、唯一性の高い出来事として処理される。

  • 与える行為は社会的評価の維持所属意識の強化に結びつき、順応が遅い。


■研究が示す追加的論点

  • 大きな金額でも同様の効果が起きるかは未検証。

  • 友人と他者で効果が異なる可能性が残る。

  • 金銭以外の報酬(例:名誉)での適用は今後の課題。

研究概要(鳥のさえずりとうつ症状の緩和効果)

  • 研究機関:中国・浙江大学

  • 掲載:Applied Psychology: Health and Well-Being(2025年9月22日)

  • 目的:鳥のさえずり音マインドフル呼吸の回復効果を比較。

  • 参加者:大学生187名

  • 群分け:

    • うつ症状あり/なし

    • 鳥のさえずり群/マインドフル呼吸群

実験デザイン

  • 6分間の安静フェーズで基礎状態を測定。

  • 悲しい映画シーンを視聴して気分を低下させる。

  • その後、鳥のさえずりまたはマインドフル呼吸ガイドを6分間聴取。

  • 気分評価と生理指標(心拍変動)を測定。

主要結果:両者とも強力な回復効果

  • 気分の落ち込み改善:両介入とも顕著に改善。

  • 自己コントロール感の回復:両介入で向上。

  • ポジティブ感情の回復マインドフル呼吸がやや優れる。

  • 生理的回復(心拍変動の安定)

    • 鳥のさえずりが、特にうつ症状のある人で顕著な効果を示す。

鳥のさえずり特有の効果の理由

  • 受動的でエネルギー負荷が小さい体験であることが要因。

  • マインドフル呼吸は注意集中を必要とし、脳の負荷が大きい

  • 鳥のさえずりを聴く行為は、意識的努力をほとんど必要としない

  • 抑うつ状態で低下しやすい**心拍変動(ストレス調節力)**を特に強く改善。

応用可能性

  • 鳥のさえずりは、都市部でも容易に入手可能な自然音。

  • 音声介入としての実行負荷が極めて低い

  • うつ症状のケア手段の一つとして有効性が示された。

  • 自然音により、気分の回復と生理的安定が同時に促進される可能性。

研究概要(就寝前の軽い運動と睡眠)

  • 研究機関:ニュージーランド・オタゴ大学

  • 掲載:BMJ Open Sport & Exercise Medicine(2024年7月16日)

  • 対象:18〜40歳 約30名

  • 条件:平日17時以降4時間を 運動あり運動なしで比較。

  • 目的:短時間の夜間運動が睡眠効率に与える影響を測定。

運動介入の内容

  • 30分に1回、3分の軽い筋トレを実施。

  • 種目:椅子スクワットカーフレイズ腿上げ・脚後ろ伸ばし

  • 時間:各 20秒×3セット

  • 運動なし条件:同時間帯を座って過ごす

主要結果:睡眠時間の増加

  • 運動あり条件では、睡眠時間が 平均27分増加
    6時間45分 → 7時間12分)。

  • 睡眠中の覚醒増加は確認されず、悪影響なし。

  • 7時間未満の睡眠が持つ肥満・メタボ・心疾患リスクへの指摘を踏まえると、時間増加は健康上重要。

  • 運動の翌日の日中活動量に差はなし

夜間運動の安全性に関する知見

  • 先行研究:激しい運動でも寝る4時間以内なら悪影響は少ないという報告が存在。

  • 今回の短時間・軽強度運動では、深部体温や心拍数の上昇による悪影響は生じにくいと推察。

  • 軽い筋トレは、従来の体力向上・筋力維持の効果に加えて、睡眠量の改善にも寄与。

生活への応用可能性

  • 1回3分の運動は、汗をかきにくく準備が不要

  • 運動不足と睡眠不足の両方にアプローチ可能。

  • 寝る前の運動を避ける通説と異なる実験的エビデンスが示された。

占いが金銭的判断に与える影響

  • ポジティブな占い結果は、信じていなくても行動に影響を与えることが確認されている。

  • 迷信を信じない回答者が多数だったにもかかわらず、占い結果に沿った選択が発生。

  • 幸運数字の商品に高額を支払う傾向など、過去研究でも同様の迷信効果が報告されている。

研究概要(エラスムス大学)

  • 研究チーム:Xiaoyue Tan氏ら。

  • 掲載:PLOS ONE(2022年9月7日)

  • 対象:226名

  • 占いアプリを使用し、以下3条件にランダムで割り当て:

    • お金に関するポジティブ予測

    • お金に関するネガティブ予測

    • お金に関係しない予測

  • 占いの信頼度の自己申告と、2万ドルの使い道による金銭的意思決定を測定。

男性のリスク行動の増加

  • 参加者の大半は占いを信じないと回答

  • しかし男性は、ポジティブな占い結果を聞くと、

    • リスクのある金銭的選択を行う確率が約17%増加

  • 後続実験(50ユーロを保持 or ギャンブル)でも、

    • 男性はギャンブルを選ぶ傾向が1.2倍に上昇

  • この影響は男性に限定されて確認された。

影響要因:テストステロン

  • 男性は女性よりテストステロン値が高いことが既知。

  • 高テストステロンは、リスク選好行動高いキャリア志向と関連する。

  • そのため、もともとリスクを取りやすい特性と、ポジティブな占いの効果が作用しやすいと考えられている。

社会的・経済的含意

  • ポジティブ占いが男性の投機的行動を強める特性は、

    • 起業家に男性が多い要因の一つである可能性が示唆されている。

  • この特性が、男性の社会的・経済的地位に影響している可能性がある。