清風高校でプレーをしていた頃から大切にしている監督の教えを紹介したい。
『ブロックが3枚ついても決まるトスをあげなさい』
これはもし相手ブロックをノーマークにしても、スパイカーが得点できなければ良いトスとは言えない。逆にブロックが3枚来たとしても得点に繋げることができるトスこそ良いトスであるという意味である。
ここで具体的な場面から考えたい。
24-25で自チームが負けている時、ノーマークになる確率が高い選手にトスを配給するか、マークされているエースに丁寧な打ちやすいトスで全てを託すか。
あなたならどちらを選択しますか。
正解は…
結果論が全て。この選択は結果が全てであり、その時に正解はない。
私自身は、3枚ブロックがついてきてもエースが決め切ることのできる最高のトスを磨いていくことを高校時代意識していた。
ネットに寄りすぎず、スパイカーがストレート、クロスどちらにも打ち分けることができ、ワンタッチで相手を弾き飛ばし、必ず得点してくれるトス。その信頼を練習で築いていたので、なにも迷うことなくこの場面で私はエースに3枚ブロック付きの最高のトスを上げるという選択をしていた。
しかし合理的な選択であればノーマークの選手にトスを配給するだろう。そして決まればチームは勝利する。決まらなければ、エースにトスを上げておけば良かったと後悔するだろう。
セッターにとって最も難しい選択だ。
この問題の正解は1つではないと考える。
どちらも正解である。
私が重要だと感じることは、セッターが自分のスタイルを貫くことだ。最後はエースに託す。常にノーマークを目指す。この軸を練習で強固なものにすることがセッターにとっての最終課題であると私は考える。