ハルミは25才のシンガーソングライター。
同じ高校の同級生たくみ(25)がメジャー・デビューを明日に控えた日、たくみのマネージャーから渋谷のライブハウスに呼び出される。
たくみのデビュー予定曲は、実はハルミが7年前の高校3年の文化祭で新曲披露した『Take off』だった。
たくみと一緒にデビューするYuri(ゆーり)はハルミが誰も観客がいない中で新曲を披露したことをいいことに文化祭で自分の作詞作曲としてたくみに歌わせていた。
文化祭後夜祭でも生徒たちの大喝采を受けて、それ以来たくみは自分の代表曲として7年間も歌い続けきたのだった。
インターネットにハルミの新曲披露の動画を誰かがアップロードしたのでたくみのマネージャーはハルミに口止めのために呼んだ。
だが、それ以上にハルミの才能を買って彼女のマネージメント契約を申し出ることの方が大きな目的であった。
『Take off』を自分でも歌い続けてきたハルミは、盗作されたということよりも高校時代からたくみ自身を嫌っていたので、そのマネージャーとの関わりも拒否した。
ハルミが呼び出しに応じたのはたくみたちと断交を宣言するためでもあった。
『Take off』を二度と唄わないことを言い残してライブハウスを後にする。
だが、悔しさを胸にライブハウスを出る頃には外界はいっぺんしていた。
急速に謎の感染症に罹患した人々が街にあふれかえっていたのだ。
感染者(アンデッド)に襲われながらも渋谷の楽器店に注文したギターを取りに寄ったハルミは、そこで居合わせた高校の同級生たち(いずれも軽音部出身)に助けられて一同は取りあえずトラックで都下の母校へと避難する。
すでに夏休み前の試験休み中で生徒のほとんどいない母校は外部からも遮断された安全地帯のようであった。
居合わせるのは補習で登校した一クラス程度の人数の生徒たちと補習を担当する元軽音部顧問の教師、大友。その大友と秋に行われる創立記念イベントに参加するため、打ち合わせに来校していたハルミと同期生たちだけだった。
この日は2学期に行われる学校創立の記念イベントにたくみたち軽音OBが出演する凱旋ライブの進行打ち合わせのためにそのメンバーが集合していたのだった。