社会とは、しばしば模倣によって成り立っていると考えられます。ガブリエル・タルドの「社会とは模倣である」という考え方から、ピエール・ブルデューにいたるまで、多くの社会学者たちが、この現象を説明してきました。この模倣の原理は、文化や行動がどのように伝播するか、そしてそれがどのように社会的現象を引き起こすかを理解するための鍵となります。この視点から見ると、宝くじの高額当選売り場に人気が集中する現象も、社会的模倣の一例として解釈できます。

 

「実際、『社会とは模倣である』としたガブリエル・タルド(Tarde 1895=2016)以来、ピエール・ブルデューにいたる社会学者たちが断続的に注目し説明してきたのは、権威あるものの文化を階級的・階層的により下位にあるものが模倣し取り込む、という一般的現象である。その社会学的理解のポイントは、芸術・文化の価値は、内在的なものではなく、階級的・階層的な力関係のなかで決まる、ということになろう(Bourdieu 1979=2020)。それゆえに文化は自ずと、権力ゆえに権威をおびた上流階級から権力・権威なき庶民へ、中央から地方へ、と繰り返し模倣されながら伝播していく、というわけだ。」
川田耕. 京都の七夕―文化伝播にみる権威と願望―. フォーラム現代社会学, 2024, 23: 85-95.

 


宝くじの高額当選売り場が特定の場所に集中する理由は、この社会的模倣の概念で説明できます。多くの人々が、過去に高額当選が出た売り場に行くことで、自分も同じような幸運に恵まれると信じています。これは、特定の場所に「運がある」と考えることで、他者がその売り場を選び、それを見た他の人々も同様の行動を取るという連鎖的な現象です。

このような人気の集中は、特に有名な高額当選売り場で顕著に見られます。たとえば、京都府の「地下鉄京都チャンスセンター」は、その実績により、多くの人々が訪れる人気の売り場となっています。この売り場では、過去に多くの高額当選者が出ており、その結果、多くの人々が「ここで買えば自分も当たるかもしれない」と考えるようになりました。
 


「京都府No1 地下鉄京都チャンスセンター

京都府でNo1と言われる売り場が『京都府京都市下京区東塩小路町地内 地下鉄京都駅構内』にある『地下鉄京都チャンスセンター』です。

ジャンボで当選金は総額39億円以上

    万願寺一等唐辛子
    長さ110センチ、太さ15センチの『巨大な唐辛子』が店先にぶら下がっている。京野菜の万願寺唐辛子をヒントに誕生し、登場して7年目。発売日前には唐辛子を八坂神社に持参して当選祈願をしている。 週刊ポスト 2018 Oct10.12/19

実績
2018年 ハロウィンジャンボ1等+前後賞 5億円
2018年 ドリームジャンボミニ1等+前後賞 5000万円
2015年 年末ジャンボ宝くじ1等+前後賞10億円
2014年 サマージャンボ 1等+前後賞 6億円
2013年 ドリームジャンボ宝くじ1等+前後賞1.1億円
2012年 年末ジャンボ宝くじ1等+前後賞6億円など」
京都府の宝くじ高額当選売場
 


このように、特定の場所に人気が集中する現象は、単に偶然や運ではなく、社会的な模倣によって引き起こされていると考えられます。人々は他者の行動を見て、それを模倣することで、同じような結果を得られると信じて行動します。この行動パターンは、宝くじだけでなく、他の多くの社会的現象にも当てはまる普遍的なものです。