キャンディーをたくさんためると足が遅くなるので、
門番につかまりそうになるとボロボロこぼしながら逃げていきます。
それがまたカワイイんです。
本体と同時発売のソフトに
「ニンテンドーランド」というソフトがありまして、
おそらくこれがWii Uを代表するタイトルになると思われます。
ニンテンドーランドには
12種類のアトラクションが用意されているんですが、その中の1つ
「どうぶつの森キャンディーまつり」を具体例に説明してみたいと思います。
どうぶつの森キャンディーまつりは、簡単に言うと鬼ごっこのゲームです。
逃げるプレイヤーはどうぶつチーム。
最大4人が4分割したテレビ画面を見ながらWiiリモコンで操作して、
どうぶつに扮したMiiを操り鬼から逃げていきます。
逃げながら、途中に落ちているキャンディーを拾っていき、
決まった数を4人で集めたらどうぶつチームの勝ちです。
鬼は門番役で、右スティックと左スティックを同時に操作して
2人の門番をプレイヤー1人で動かします。
キャンディーを集められる前にどうぶつを3回捕まえれば門番の勝ち。
門番はテレビ画面ではなくWii U GamePadを見て操作をします。
そしてここが非常に良くできているところなんですが、
Wii U GamePadの画面は、2人の門番が離れると、
それに従って広い範囲が表示されるようになります。
NewスーパーマリオブラザーズWiiや
スマッシュブラザーズシリーズのような感じですね。
1人で2キャラクターを操作すること、
2人の門番が離れるとその分だけ広い領域が表示されること、
そしてそれがWii U GamePadにだけ表示されていること、
これがポイントですので覚えておいてください。
次は、実際にプレイするとどういうことが起こるかご説明していきます。
今までのWiiリモコンやヌンチャクなどの周辺機器も使うことができて、
そこにWii U GamePadが加わることになります。
どうぶつの森キャンディーまつりは、ゲームがスタートすると、
どうぶつチームはまずはてんでバラバラに走っていきます。
すると地面にもキャンディーは落ちているんですが、
木にたくさんのキャンディーがまるで果物のようになっていて、
下にはスイッチがあります。
どうやら2人でスイッチに乗っかるとキャンディーが落ちてくる仕組みです。
あるいはスイッチが3つの木も、これはたくさん落ちてきそう。
当然みんなを集めます。
「こっちきて、キャンディーとれる、後1人!」
しかしこれはチャンスであり罠なんですね、
何しろ3人も1箇所に集まってしまうわけですから。
門番はそういう時、同時に操作している2人をどんどん離して探索するわけです。
そうするとマヌケにも木の下でゾウやらカエルやらが集まってるではないですか。
そこで遠くから回りこんで忍び寄ると、
「ギャッ! 門番! 門番キタ!」と大騒ぎ、一目散に逃げ出すどうぶつ達。
しかし門番は広範囲が見えてるわけで周囲を確認してますから、
もう1人を反対側に回りこませて「いよぉし捕まえた!」と門番ダイブ!
あえなくゾウさんが捕まってしまいます。
こうなるとどうぶつ達も考えます。
自分の周りの範囲を警戒しつつ「門番いたよ!」などとチームプレイを始めます。
門番は門番で2人をうまく操作しながら袋小路に追い詰めて、
なんとか捕まえようとします。
どうぶつ達がワーキャー言う中、
自分だけWii U GamePadを使って戦略的に2人の門番を動かし、
上手くはまって追い詰めた時の快感はたまらないものがあります。
1人捕まり、2人捕まり、最後の1人が捕まるのが早いか、
キャンディーが集まるのが早いか!
見事キャンディーを集めきると思わずハイタッチしてしまう盛り上がり。
思わず「おおーっ!」「よっしゃー!」と声があがります。
情報の非対称性
手元に画面があるというと、
ドリームキャストのビジュアルメモリを思い出してしまいます。
このゲームが絶妙なのは、
どうぶつチームと門番の情報格差の付け方にあります。
門番は画面の表示領域を広げることができるというのもそうですし、
2人同時に操作できるというのもそうです。
みんなが集まっているところに門番が現れたら、
どうぶつ達はそれぞれ無我夢中に逃げていきます。
しかし、門番はこっちから現れてもう1人を反対側の狭いところに待機させてと、
2キャラクター分の情報を1人で把握して罠を仕掛けます。
これに対抗するには、どうぶつチームが声を掛け合って情報を補足しあい、
意志の疎通を図る必要があります。
「こっちに木があるよ、後1人!」
「散り散りに逃げよう!」
「下の方に門番いた!」
Wiiのゲームにも、コミュニケーションを図るゲームはたくさんありました。
声を出して協力することもあったでしょう。
しかし、Wii Uはそれをさらに1歩進めて、
Wii U GamePadで情報の偏りを作ることで、
その偏りを埋めるためのコミュニケーションを起こすよう、
ユーザーを誘導します。
そして声を掛け合うと、俄然ゲームが上手く回り出して、
ますます面白くなるように設計されています。
遊ぶと分かりますが、みんなで声を掛け合いながら遊ぶというのは、
それ自体が非常に楽しいことです。
場の一体感、盛り上がり、
勝っても負けてもゲームが終わると同時に笑顔がこぼれますそして、
遊んだ後はすごく仲良くなっているのです。
これは非常に強力な価値で、Wii Uがうまくスタートできるかは、
この価値をいかに広くユーザーに伝えるかが重要になるでしょう。
さて、ここで勘のいい人は、あることにお気づきかと思います。
情報の非対称性を利用したゲームって
携帯機のワイヤレス通信でもできるんじゃないの? という点です。
確かにそうです。
しかし、場を共有して盛り上がるということに関しては、
Wii UにはWii U GamePadの他にもう1つ、強い味方が存在します。
大きなテレビの持つ一体感
みんなで遊ぶ時便利になる一方で、
1人で遊ぶ時はテレビを独占しなくてもすむようになるのがWii Uです。
(イラスト 橋下モチチ)
Wii U GamePadは、
1つには据え置きゲーム機をテレビから切り離す機能があります。
1人用のゲームを遊ぶ時にWii U GamePadにゲーム画面を表示することで、
テレビを独占せずに据え置きハードのゲームを遊ぶことができます。
そしてそれとは真逆に、
テレビに接続するということの利点を大きく活かすことも考えられています。
ガイドは、毎週金曜日に代々木ゲームルームという、
誰でも参加できて好きなゲームを持ち寄って一緒に遊べるという
ゲームサロンのような場を運営しています。
そこではニンテンドー3DSのマリオカート7で、マルチプレイをよく遊びます。
ソフトを持ってない人でもダウンロードプレイで参加できて
最大8人まで遊べるので非常に都合がいいのです。
マリオカート7のマルチプレイの中でもガイドがオススメなのはチーム戦。
2チームに分かれて4コースを走り、
順位によるポイントの合計を競うものですが、
アイテムを使うタイミングなど、
それこそ声を掛け合って協力して走ると一体感があって、
個人レースにはない楽しさがあります。
そして、より楽しく遊ぶコツが、座ってる場所なんです。
すごく単純なことですが、同じチームの人を近い席にすると、
それだけで盛り上がりが違います。
一体感を持ってプレイして、声もぐっと掛けやすくなります。
ゲームの中のルールとして、一緒に協力するということと、
物理的な場の共有は、
当たり前ですが両方あったほうがより盛り上がります。
そう考えると、
テレビにゲーム画面を表示するという据え置きゲーム機の機能が、
Wii Uの提案するゲームに対し、非常に効果的に働くことが分かります。
同じチームで協力するメンバーがみんなで同じ画面を観てプレイする、
そうして1人だけWii U GamePadで秘密の操作をしている、
これは本当に分かりやすい状況です。
もっと言えば、ゲームをプレイしていない人も、
画面を観て一緒に盛り上がることができます。
ゲームの仕様として携帯ゲーム機で同じことができても、
意味は少し変わってきます。
それは、わざわざテレビでゲームを遊ぶ理由になり得ます。
リビングにみんなが集まる理由になるかもしれません。
任天堂はWii Uについて語る際に、
“Alone Together”という言葉を紹介しました。
みんなが同じ空間にいても、スマートフォンやPC、
あるいは携帯ゲーム機なども含まれるのかもしれませんが、
そういった機械とやり取りをしてて、
一緒にいるのに1人ぼっちになってしまうという状態を表現した言葉です。
Wii UがWii U GamePadを使った新しいゲーム体験によって、
リビングをみんなの声でいっぱいにすることができれば、
Alone Togetherを解消し、ゲームによって家族が、友達が、
もっともっと仲良くなる、そんな光景を見ることができるかもしれません。
みんなで盛り上がる為にWii Uが欲しい、そう思ってもらうことが、
Wii Uが良いスタートを切る条件になるように思います。