『転校生』

Zeppブルーシアター六本木

9/5(土) 13:00


劇場内は入ってまず驚いたのは開演前なのに出演者がステージ上にいたこと。

それぞれ、ストレッチをしていたり、話をしていたり、開演前の準備をしているようでした。


又、そのステージにも驚きました。

それは、1列から11列をつぶしてそこにステージができていたから。

そして、そのステージには机と椅子が並べられていました。

但し、出演者がいたのはここではありませんでした。

机と椅子が並べられて教室と思われる場所の奥に一人一人の鏡と机と椅子が置かれた楽屋のようなものが作られており、出演者たちはそこにいました。

これはあくまでも楽屋のようなもので実際の楽屋ではありませんが。

そうはいっても、楽屋の様子を覗き見しているような不思議な気持ちでした。


新たにステージが作られた結果、12列目だった私の席は最前列となりました。

嬉しい驚きでした(^O^)


趣向はこれだけではありませんでした。

開演15分前になったらそのアナウンスを出演者が行いました。


又、5分前には別の出演者が観客の前に立ち、注意事項を伝えていました。


このような演出によって、出演者と観客の距離感がかなり近いものに感じました。

そして、目の前の出来事が非現実なものだという意識が薄れていきました。



この作品は、出演者21人が一つの方向に向かっていくものではありません。

最大で3種類のセリフが同時に行きかい、時に応じて一つの会話につながったり、又離れたりと観客としては聞き取りにくい作品となっています。

その聞き取りにくさを解消する手段として、舞台上、正面奥に掲げられたスクリーンにセリフを映し出しています。

しかし、そのセリフも最大で3段に分かれている為、全てのセリフを追いながら出演者の動きを追うのには限度があります。

ですから、すべてのセリフを追うのではなく自分が聞き取れるセリフ以外でどのような話をしているの確認するために使う事となります。

もっとも、日常生活でも複数の会話が行きかいます。

そして、それを全て聞く事はできません。

そう考えるとかなり、日常的な作品だと感じました。

但し、作る側、演じる側、観る側からすると難しい作品だな、と思えました(^^;)



出演者たちの会話の内容ですが、至極日常的なものだと思えました。

但し、「朝起きたらこの学校の生徒になっていた」というセリフを除いてですが。

このセリフが出たことにより、この後の展開が想像できませんでした。

ところが、

これ以降は日常の場面がつづられていました。


出演者たちの仕草、会話は特別なものではなく日常的なものでした。

先生からの出た課題に対するテーマも特殊なものではなく現在の社会での出来事でした。

それに対する会話もどこにでもありそうなわかりやすいものでした。


日常の一場面を切り取って、それを客観的にみせる作品だったと思います。

しかし、客観的なんだけど、日常と非日常の境をあまり感じさせない、作品でした。



そうはいってもつまらない作品だったかというとそんなことはありません。

とても魅力的で素晴らしい作品でした。

今までに無い感動を与えてくれました。


題材はどこにでもありそうなものだけれど、それを、芝居、という非日常の場で魅せる形にするのは簡単ではないと思います。

それをスクリーンを使ったり、教室中での動きと教室外の動きを変えてメリハリをつけたり、場の変更に暗転ではなく机の配置で対応したりといろいろな工夫があって、日常に近いんだけれど芝居なんだ、という事を感じさせられました。

表現方法って工夫次第で新しさを感じて感動できるんだ、って事を教えてもらった気がします。


この作品に出会えてとても感動しました。

ありがとうございました(^O^)