満ちたり 欠けたり

現代能楽集Ⅴ 『「春独丸」「俊寛さん」「愛の鼓動」』 能「弱法師」「俊寛」「綾の鼓」より  シアタートラム


能を題材にした芝居です。


しかし、基となる能を知らなくても楽しめるつくりとなっています。


「春独丸」は親子の業が描かれています。


傷つけ捨てたのにその事に囚われる姿が狂気をはらんでいるけれども悲しい様子が感じられました。


基本的には岡本健一さんと久世星佳さんの二人芝居でした。

そして、他の人達が色々な場面を表現したり強調するように動いて、物語の流れを作ったりわかりやすくしたりしていました。


「俊寛」は軽妙な感じの内容や演技で笑えました。

ただ、基となった作品は寂しいものなのではないかと思わせるようなラストでした。



「愛の鼓動」は3つの中で一番現代的な作品でした。

基となった作品を知らない私にとっては完全な現代の作品だと思えるくらいでした。


セットには驚かされました。


雨が降っている、という設定の部分を実際に舞台で雨を降らせたのです。

激しい雨ではなくじとじとという表現があっている雨でした。


しかも一瞬ではなく場面に応じて降っていました。


そして、ラストでは・・・

ある変化に気付いた人達が驚く様子が段々広がっていくのがよくわかりました。




最初は、能を基にしたということで難しいかと思いましたが、実際観てみるとそのような事はありませんでした。

古典といえどもその表現方法によってはとても親しみのわくものになるという事が良くわかりました。



次回があるのかわかりませんが、あるのだったら又観てみたいと思います。