昨年12月に自公国3党で合意したガソリン税の暫定税率部分の廃止であるが、実施時期が決まらないままに予算案の修正・年収の壁引上げ・果てには商品券問題と続いて何時しか政争の中に埋もれてしまった感があったが、どっこい埋め火として生き残っており、会期末までの国会審議、会期末恒例の内閣不信任案提出に至る野党団結のツールとなって息を吹き返した。
 1974年に道路整備の財源確保の目的税として設けられた暫定税率であるが、何時しか一般会計に組み込まれて現在に至っている。また、暫定税率には「トリガー条項」があって、ガソリン価格が160円/ℓを3カ月連続で超えた場合には自動的に暫定税率を免除(中止)する制度となっているが、東日本大震災後の復興財源確保のため、この条項は現在凍結されている。
 暫定税は、1ℓあたり25.1円を上乗せするので、廃止となれば190円台で推移している小売価格が165円程度になると期待する向きもあるが、実際は石油精製業者が出荷する際に税を支払っているために、小売価格に反映されるのは早くても廃止決定後3か月以上先とされており、現在の人件費や原油価格の高騰を考えれば、小売価格に反映されるのは10円程度ではないだろうか。標準家庭におけるガソリン消費量は年間で500ℓ内外とされているので、暫定税廃止後の「潤い」は5千円程度と僅かな額に過ぎない。ガソリン価格が下ることで、物流の安定と輸送コストの低減を挙げる人もいるが、現在の物流の混乱と輸送費の高騰は、主としてネット購入商品の輸送量増大とドライバー不足に起因するもので、ガソリン価格が下がることでは解決しないように思える。
 そもそも税に関する議論は、「その税と税率が、国家運営に必要か否か」で進められるべきと思うが、暫定税の廃止論議を眺めると、冒頭には「目的税として暫定的に定めた税が、今もって通用するのはおかしい」という制度の欠陥が挙げられるのが一般的である。成る程、必要な財源ではあるが暫定と云う言葉が気に入らないならば、暫定を削って恒久税とすれば納得されるのだろうかと鼻白む思いがする。
 半恒久化した感のあるガソリン暫定税であれば、その喪失は公共業務に少なからぬ影響を与えるだろう。恒久財源を探さないままに走り出した給食費と高校教育の無償化に加え、ガソリン暫定税を廃止すれば、予算の歳出入バランスは極度に悪化するだろう。
 中学校社会では、国家経済は「入る(歳入)を測って出ずる(歳出)を制す」と教わったが、現在の「出ずるを測って国債を制す」は有ってはならないように思えるのだが。