子どもの乳歯が抜ける時期と順番:前歯・犬歯・奥歯の特徴

すでに「子どもの乳歯が抜ける時期や順番、そして永久歯が生えてくる過程」については確認しましたが、さらに一歩踏み込んで、前歯(中切歯・側切歯)犬歯(けんし)、**奥歯(おくば)**などの部位別に抜ける時期の特徴を見ていきましょう。子どもによって個人差はありますが、一般的な目安を知っておくと安心です。

 


1.子どもの乳歯が抜ける順番と部位別の時期

(1)前歯(中切歯・側切歯)

  • 6~7歳頃
    一般的には、下の中央前歯(下顎中切歯)からいちばん最初にグラグラし始めます。その後、上の中央前歯が続いて抜けるケースが多いです。

  • 7~8歳頃
    前歯の隣(側切歯)が抜けて、永久歯が生えそろっていきます。
    この頃になると、「歯が抜けてうまく話せない!」と感じる子が増えてくる時期でもあります。

(2)犬歯(けんし)

  • 9~12歳頃
    犬歯は前歯の隣に位置する尖った歯です。抜けるタイミングは前歯と奥歯の間くらいですが、個人差は大きいです。
    犬歯が抜けた後に生える永久歯が斜めになったり、歯列が乱れたりする場合もあるので、定期的に歯並びをチェックすると安心です。

(3)奥歯(小臼歯・乳臼歯)

  • 子どもの乳歯の奥歯は、小臼歯(第一・第二小臼歯)や、いわゆる乳臼歯と呼ばれる歯が含まれます。
  • 第一小臼歯と第二小臼歯は、乳歯の奥歯に代わって生えてくる permanent teeth(永久歯)です。9~10歳以降に順番に抜け始め、新しい歯が生え揃っていきます。
  • 12歳前後になると、第2大臼歯が生えてくるため、ほとんどの乳歯は永久歯に置き換わり、子どもの歯から大人の歯へ本格的に移行していきます。

2.なぜ個人差があるの?(子どもによって異なる乳歯の抜けるタイミング)

  • 遺伝的要因
    親が歯の生える時期(または抜ける時期)が早かった・遅かった場合、子どもも似た傾向を示すことがあります。

  • 栄養状態
    カルシウムやビタミンDが不足していると、歯の成長に影響を与えることも。逆に栄養バランスが良いと、健康的な歯の形成を助けます。

  • 口腔衛生習慣
    虫歯が原因で、通常より早く乳歯が抜けてしまうケースがあります。日頃からの歯磨きやフッ素ケアなどが大切です。

  • 性別・体質
    統計上、女の子の方が男の子よりも歯の萌出・脱落時期がやや早い傾向があるといわれますが、あくまでも個人差が大きい点に留意しましょう。


3.前歯・犬歯・奥歯が抜けるときの注意点

早く抜けた場合

  • 4歳以前に乳歯が抜けると、かなり早いタイミングです。
    歯が並ぶスペースを確保できないまま永久歯が生える可能性があるため、歯列不正(歯並びの乱れ)が起こりやすくなります。
  • 虫歯や外傷が原因で早期脱落が疑われる場合は、歯科受診が必須です。

遅く抜けた場合

  • 8歳になっても前歯がまったくグラグラしない場合は、専門医に相談してX線検査などで永久歯がしっかり準備できているかを確認するとよいでしょう。
  • 永久歯が生え始めても乳歯が抜けず、**二重列(いわゆる“サメ歯”)**になるケースもあります。自然に抜けるのを待つ場合もありますが、状況によっては歯科的な処置が必要となることがあります。

抜けたあとのケア

  • 乳歯が抜けた直後は、ガーゼを軽く噛んで止血する、抜けた部分を触りすぎないなど、出血や感染を予防しましょう。
  • 歯磨きの際は、強くこすりすぎず、やわらかいブラシでやさしく磨いてあげてください。

4.永久歯がきれいに生えそろうようにサポートするには?

  1. 定期歯科検診
    歯並びが乱れてきそうな兆候があれば、早めに矯正専門の歯科医に相談することが重要です。

  2. 十分な栄養
    歯の形成に欠かせないカルシウム・リン・ビタミンD・タンパク質などをしっかり摂取できるよう、食事内容をチェックしましょう。

  3. 正しい口腔習慣
    指しゃぶりや歯ぎしり、舌を押し出すクセなどは歯列に影響を与えます。気になる場合は意識的に直していくと、歯並びの乱れを予防しやすくなります。

  4. 歯の萌出時の痛みケア
    永久歯が生え出すときに、歯ぐきがうずいたり軽い痛みを訴える子もいます。冷たい水でのうがいや、やわらかい食べ物を与えるなどしてサポートするといいでしょう。


5.子どもと一緒に楽しむ「歯の交換」時期

  • 「歯の妖精」の話をしたり、乳歯が抜けるたびにちょっとしたご褒美を用意するなど、ポジティブな体験につなげられる工夫をしてみましょう。
  • 歯がグラグラしたり抜ける瞬間を恐れる子もいます。自然な体の変化だと安心して受けとめられるよう、親子で前向きに話せるといいですね。
  • 子ども同士で「何本抜けたか」を比べ合うとストレスになることもあるため、個人のペースを尊重してあげるのがポイントです。

まとめ

子どもの犬歯・奥歯・前歯が抜ける時期には一般的な目安こそありますが、個人差が大きいのが特徴です。特に、極端に早い段階で乳歯が抜けたり、抜けるべき歯が長らく抜けない、あるいは永久歯が生え始めても乳歯が抜けず**二重列(サメ歯)**のような状態になる場合は、できるだけ早めに歯科医に相談しましょう。

保護者の皆さんは、乳歯が抜ける時期を子どもと一緒にポジティブに捉えながら、定期的な歯科検診適切な口腔ケアを続けてあげてください。子どもにとっては大きな成長の節目ですから、「歯が大人の歯に替わっていく」過程を親子で楽しくサポートしていけると理想的ですね。

丈夫で健康な永久歯を持つ素敵な大人になれるよう、日々のケアと見守りを続けていきましょう!