第3章 クレーマーへの“しなやかな”対処法

クレーマーに対して、「相手の要求を抑え込もう」としたり「説得して納得させよう」としたりしてはいけない。いくら説明しても、クレーマーはま納得しない。だからクレーマーなのだ。

「相手の話に合わせつつも、さりとて応じない」というのがしなやかな対応だ。

 

 

謝るべきことがあれば謝る。場合によっては賠償金を払こともある。説明もきちんと行う。これでこちら側の「説明責任」や、やるべきことは果たしたことになる。

クレーマーは「説明責任を果たせ」といってくるが、説明に納得することはない。こちらのことを理解するつもりがないからだ。自分の要求する事柄が達成されないかぎり永遠に「説明責任」を取れ「誠意を見せろ」といってくる。

 

 

対応する際に、「説明すべき事柄」を社内で決めておくこと大事だ。ここまで説明したら終わりにする、という決めを作って相手に説明していく。

 

電話や対面での対応の際には、録音しておく。後で「そんな説明は聞いていない」といわせないためだ。

また、「説明を求めることを書面で出してくれ」と要求するのも手である。クレーマーは素直に応じることはないだろうが、先に相手の要求する説明範囲を求めることによって、勢いをくじくことができるかもしれない。

 

 

「そんなことは自分で考えろ」といわれたら「それならば当社としてもう説明することはりません。これにて対応を終わらせていただきます」と答えればよい。

 

途中で担当者を変えてみるのも手である。クレーマーは話の流れ掌握して、根拠のない自信を持って押し込んでくる。担当者を変えることによって。相手のリズムを崩すことができる。担当者の変更について文句を言ってくることだろうが、会社は組織として対応しているので担当者はいくらでも変わりうる。

 

 

実体のない謝罪を行って肩透かしをする。

「○○様、不愉快な気持ちにさせて申し訳ありません」

具体的な事実について謝るわけではない。相手の名前を入れて我に返らせる。トーンが下がることが多い。

 

また、具体的な要求をしてくるクレーマーであれば「○○様の要求に対して会社から許しが出ません。私も困っています」と相手の立場と同じところに自分もたっているのだと思わせる。すると、相手が譲歩してくる可能性がある。

 

逆に、「こちらは誠意のある対応を求めているだけだ」と繰り返すクレーマーもいる。

そういう時には、

「要求の内容を具体的に教えていただけないなら、こちも対応しかねます」

「要求の内容を書面で提出してください。社内で検討します」

などといってみる。

それでも「誠意を求めているだけだ」といってくるのであれば、

金銭の要求をされているのですか?」と聞いてみる。

相手は「そんなことは言っていない」と答える。あくまでもあいまいなままでいたいからだ。相手が自主的に金銭や物品を持参したという外形を残したいのだ。

「明確な要求を提示していただけないなら対応はできかねます」といって交渉を打ち切る。

 

 

クレーマーが「訴えてやる」といってきたらチャンスである。実際には訴えないことがほとんどだ。担当者に対するプレッシャーである。訴えられたくないと考えて、クレーマーが「こちらの要求を呑む」ように言っているに過ぎない。

逆に訴えてくれたら、今後は弁護士を通してのやり取りとなる。構成は何だが期待できるので、担当者や会社にとっては都合がよい。

 

クレーマーの要求を簡単に飲んではいけない。論破しようとしてもいけない。相手の話を聞きながら、あいまいな要求には対応はしない、ということが大事なことだ。