監督 後藤剛

角由紀子

横澤丈二

いしだ壱成

やくみつる

海老野心

石川翔鈴

2023年/日本

 

渋谷駅に近い三軒茶屋にあるというオカルトビル。

ポルターガイスト現象が起こる。

天井のライトを下げた骨組みが揺れ、

壁に掛けたホワイトボードが揺れる。

そして、青白い手が現れて指をうごめかす。

 

お勧め度

★★☆☆☆~★★★☆☆

 

 

 芸能プロダクションのオーナー横澤氏が30年前の交霊会の話をする。白い少年が出てきて鏡の中に消えたという。その交霊会がきっかけで、幽霊の姿をよく見るようになった。

 インタビュアーの角由紀子氏は、自らビルに泊まり込み心霊現象を探っていく。

 

横澤氏             角氏

 

 ゲストにいしだ壱成氏を呼ぶ。壱成氏が昔体験した不思議な話をしていると、線香の匂いが漂ってくる。すると壱成氏は右腕を抓られる感覚を覚える。

 

いしだ壱成氏        角氏   

 

 次のゲストはやくみつる氏。三茶の詳しいらしい。やくみつるも昔経験した怖い話を語る。

 

やくみつる

 

 若手女優2人(海老野心、石川翔鈴)と角は一緒にこっくりさんをする。こっくりさんのいってくることは意味が通じない。しかし、天井の証明類が揺れたり壁のホワイトボードが揺れたりする。若手女優2名は恐怖叫び声をあげる。

 

 

角由紀子氏が横澤氏と再び検証にかかる。部屋の中は、線香の匂いが漂っている。二人とも頭が痛いという。二人でこっくりさんを始めると、周囲の壁を叩く音がし始める。かなり激しく壁が音を立てる。

こっくりさんを継続すると鏡に張っていった少年はてつという名前ということがわかる。ジン者で供養をしてほしいという。角由紀子氏は少年のいうとおりに神社を訪れお参りをする。

 

 

 現場に居たら結構怖いのだろうな、と思う。ネットでは有名なビルである。にぎやかな街中の古いビル。不動産業の人が出てくるがビルについて「結構賃料のとれるビル」といっていた。確かに駅近だけども、場所がいいから高いのか。ワンフロアはそんなに広くないけども。私なら、近くのキャロットタワーに入りたいところだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

監督 クロエ・ジャオ

ファーン: フランシス・マクドーマンド

デイブ: デヴィッド・ストラザーン

リンダ: リンダ・メイ

スワンキー: シャーリーン・スワンキー

ボブ: ボブ・ウェルズ

ピーター: ピーター・スピアーズ

2021年/アメリカ

 

映画は、現代のノマド達の実態を、ドキュメント風の作風で映し出していく。

1日1日を生きていく姿はたくましくもわびしい。

明日は何とかできる。

でも、半年後はどうなっているのかわからない。

不安を抱え、自分の身ひとつを生活の糧にする。

主演は『ファーゴ』のフランシス・マクドーマンド。

抑えた演技がリアリティを醸し出している。

 

お勧め度

★★★★★

 

 

 住み慣れた家を失った初老の女性ファーン。リーマンショックの余波を受けたのだ。愛着なる服を抱きしめる。

 

ファーン

 

 ワゴン車に乗り込み移動する。これからは車が住居となるのだ。さすらう人「ノマド」となって生きていく。

働く口を求めて国内を移動する。アマゾンの大きな倉庫で働く。

 

 

 

 そこには同じような身の上の人たちが多く働いている。安い時給で過酷な肉体労働をこなす。ピッキングをし、梱包をしているうちに1日が過ぎていく。

 

 ファーンは死んだ夫が使っていた釣り道具入れを食器入れとして使い、父が高校卒業に祝いにくれた皿を大事に持っている。

 

 ショッピングセンターで、以前の知り合いと偶然出会う。娘を連れたその女性は、再会を喜ぶ。

「困ったことがあったらうちに泊まって」と気遣う。ファーンの身の上を知っているだ。

 

 

 女性の娘はかつてのファーンの教え子だ。ファーンに習った語句を暗唱し、ファーンはそれをほめる。

「完璧よ」

「先生はホームレスになったの?」

「いいえ、ハウスレスよ。別物だわ。心配しないで」

「OK」といって少女は去っていく。

 

職場で知り合った初老の女性リンダ。自殺を考えたこともあるという。しかし飼っていた二匹の犬の眼を見たらできなかった。

「アリゾナにノマドの支援組織がある。あなたも来てみてよ」

そういってファーンを誘う。ファーンはそれを断る。

「住所だけでも聞いておいてね」リンダはファーンを気遣う。

 

リンダ

 

 アマゾンでの契約が切れて年末に仕事を失う。外は雪が積もっている。寒い。

仕事はなかなか見つからない。ガスステーションの脇に車を停める。

「おせっかいかもしれないけど、近くに教会があって宿泊施設もあるわ」

 ガスステーションの女性店長が気を使ってファーンに話しかける。

「何かあったら言ってね」そういって立ち去る。

 

 ファーンは南へと向かう。アリゾナのノマドの集落へ行ってリンダと再会する。

 

 

主催者のウェルズが演説をうっている。経済の奴隷であった我々は年老いてそのサークルからはじき出された。だから我々は助け合わなければならない。今や国の経済は崩壊しかかっている。多くの人を助けたい。

 

ファーン     リンダ

 

 キャンプには様々な過去を抱えた人たちがいる。ベトナム戦争へ行ってPTSDになったという老人。両親ががんで死んで全国を回ることにした女性。同僚の死を見つめて「時間を無駄にしてはいけない」と思った女性。

 

 ノマドの友人たちと新型RV車の展示会へ行く。高級で大きな車ばかり。

「恐竜の群れみたい」

中に入って最新の機器の利便性に声を上げて驚くファーン達。少女のようにはしゃぐ初老の女たち。

 

 ファーンは短期の仕事を見つけながら居場所を変えていく。知り合った同じ境遇の人からノマドとして生き抜いていく術を学んでいく。

 

 国立公園で働き、ファストフードの店、農場などで働く。

いろいろな出会いと別れがある。

洗濯はコインランドリー。暇なときは夜の街を歩き、ファストフードの店で一休みする。ファーンは、一人でいることが多い。誰に見せるでもない写真を撮って、散歩する。

 

姉の家を訪ねる。姉には不動産業を営む夫がいて余裕のある生活をしている。姉はファーンの生き方を肯定しつつも、姉夫婦の家で暮らすことを愛情をこめて勧める。しかし、ファーンはそれを断ってノマドの生活へと戻っていく。

 

 

 その後ファーンは旅の途中で知り合った男性の住む家に行く。

 

 

 その男性もノマドだったのだが、息子夫婦の暮らす農場へ行きそこで生活していたのだった。家族はファーンを歓迎する。男性はファーンにここで一緒に暮らしてくれないかという。息子の嫁は素朴なタイプでファーンと仲良くなって「義父はあなたのことが好きよ」という。ここで暮らせばいいのに、とその若い嫁はいっているかのようだ。しかし、ファーンはその家を出ていく。

 

 またアマゾンで働き、新年を迎え、車で移動していく。

ファーンはかつて住んでいたエンパイアへ行く。かつて暮らした家は廃屋になっている。中へ入る。台所から見たいつかの風景。遠くに山脈が見渡せる。私はここで暮らしていた。死んだ夫ボーともそのうち会える。ファーンはそう思う。そして車に乗って旅を続けていく。いつか見た夏の日を胸に描きながら。

 

 

 

広大なアメリカの中西部。貧しい土地が多いのだろうか。ノマド達はどこかで人生のレールから外れ、その日暮らしをしている。しかし「人生のレール」とは何だろうか。生きやすく死にやすい道のことだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

監督 ジョエル・コーエン

脚本 ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン

ジェリー・ランディガード(ウィリアム・H・メイシー)

カール・ショウォルター(スティーヴ・ブシェミ)

ゲア・グリムスラッド(ピーター・ストーメア)

ジーン・ランディガード(クリステン・ルドルード)ジェリーの妻                           

ウェイド・グスタフソン(ハーヴ・プレスネル)ジェリーの義父

マージ・ガンダーソン(フランシス・マクドーマンド)

ノーム・ガンダーソン(ジョン・キャロル・リンチ)

 

中西部の田舎町で事件が起こる。

最初は些細なたくらみだった。

ストレスフルな小市民。

義父に対する反発。

事態が進むにつれ、状況は複雑になっていく。

こんなはずではなかった。

 

 

●お勧め度

★★★★★

 

 

 1987年、ノースダコタ州ファーゴ。

 ジェリー・ランディガードは一軒の飲み屋に入る。そこで待っていたのはカールとゲアの2人の男。

 

 

ジェリー

 

        カール    ゲア

 

 ジェリーはミネソタ州ミネアポリスで自動車販売店の営業部長で金を必要としていた。駐車場の事業を起こそうとしていたのだ。義父に出資を相談しているがいい返事をしてくれない。妻の父親は販売店チェーンの社長をしている富豪。

 そこでジェリーは妻を誘拐して義父から身代金を取ろうと考える。協力してもらう仲間として、修理工場のシェプからゲアを紹介され、会いに来たのだ。カールとゲアは見た目からしてチンピラの怪しげな雰囲気。一方ジェリーは生真面目そうな堅気の勤め人。カールとゲアから見るといいカモである。

 手付としてジェリーは新車を二人に渡す。ミネアポリスからその車をけん引してきたのだった。車は報酬の一部なのだ。そして、計画がうまくいって身代金8万ドルが入ったら、4万ドルずつ山分けする。

 

 その夜、ジェリーが家に帰ると義父のウェイドが来ている。

 

ウェイド

 

ジーン

 

 事業家的な気の強さを発揮して娘であるジーンとジェリーを圧倒する。それでもジェリーは前々からウェイドに相談している話(土地を購買して駐車場をつくる)を持ち掛ける。ウェイドの返事はつれない。

「俺は昔、駐車場を作って大損をしたことがある」

 

その数日後、駐車場の話に義父のウェイドが出資することになる。そうなると、誘拐の話は不要となる。そこで、ジェリーはゲアとカールに連絡しようとするが電話がつながらない。

 

 そのため、予定通りゲアとカールはジェリーの家に行きジェリーの妻を誘拐する。

 そうとは知らず、ジェリーはウェイドに呼びだされて会いに行く。そこにはウェイドほかに会社の会計士がいて、何やら企んでいる風情だ。

「事業計画としていい話だ、しかしなぜ私がお前に金を貸さなければならないのだ。ここは銀行ではない。この話はこちらだけで進めることにする」

 ウェイドはジェリーの考えた事業を横取りしたのだった。

 失意と怒りにまみれたジェリーは、それでも心を静めて家に帰る。そして妻が誘拐されたことを知る。義父のウェイドに電話をかける予行練習をする。

「ジーンが、僕の妻が…」

 

 ゲアとカールがジェリーの妻ジーンを拉致し、車に積んで走らせているときに後ろからパトカーがサイレンを鳴らしながら迫ってくる。

 車を停めてカールが警官の質問に対応していると、助手席にいたゲアがいきなり警官の腕をつかみ動けないようにして銃弾を頭に打ち込み殺す。後ろの席ではジェリーの妻が恐怖の声を上げ、カールは顔に返り血を浴びて凍り付く。しかしゲアは平然としている。

 カールが警官を抱え移動させていると、車が通りかかり事態を目撃する。ゲアは素早く車を運転し後を追い、乗っていた二人を撃ち殺す。

 

ゲア

 

 寝ているところを電話で起こされるマージ。隣では夫のノームが寝ている。マージはすぐに署へ赴くことにする。マージは妊娠して結構お腹が大きくなっている。ノームも目を覚まし、「卵を焼くよ」などと妻に気を遣う。ノームは芸術家で絵をかいたり鳥のデコイを作ったりしている。

 

 現場に着くと一人の警官が待っている。マージはブレイナード警察署の署長を務めている。ブレイナードはファーゴトとネアポリスの中間点の街だ。

 

 

 マージは現場をざっと検分する。現場は雪原の中を通る一本の道沿い。殺風景な景色。

マージは、殺された警官のメモの「DER」というメモからディーラーの車ではないかと推理する。

 

マージ

 

 

 そのメモを起点に車が目撃されたモーテルを探り当て、そこで二人の男と関係した娼婦に話を聞き出し、モーテルから発信された電話をたどりシェプを知り、シェプを経由してジェリーにたどり着く。マージは質問に答えるジェリーの態度に不信感を持つがいったんは引き下がる。

 

 カールは人を3人も殺してしまい、ことが大きくなり慌てている。ジェリーに電話して、不測の事態が起こった。8万ドル全部よこせ、と高圧的に迫る。ジェリーは話が違うといって断る。しかし、義父には、事業を横取りされた腹いせもあって、妻の身代金は100万ドルといっているのだった

 ジェリーの義父のウェイドは「金は自分が届ける。わしの金だ。お前では当てにならない」などというが、ジェリーは自分が窓口になっているからダメだと言い張る。しかし、ウェイドは治まらない。結局、自分で金をもってカールが指定した場所へ金を持っていく。

 金を持ってきたウェイドを見たカールは指示と違うといって怒りだす。ウェイドはひるむことなく「娘は何処だ」と怒鳴りつける。

カール

 

ウェイド

 

「娘を返さないと金もなしだ!」

 しびれを切らしたカールはウェイドに弾を打ち込む。倒れながらもウェイドもカールに向けて発砲する。その弾はカールの喉元をかすめる。血で喉のあたりを濡らし、逆上したカールは何発もウェイドに弾丸を打ち込んで殺す。そして金の入った鞄を持って逃亡する。

 

カール

 

 その直後ジェリーは現場へいく。倒れているウェイドをトランクに積んで走り去る。

 

 翌日、ジェリーの仕事場にマージが訪ねてくる。

 

マージ

 

ジェリー

 

 マージの質問に答えるために、車の台数を数えるふりをしてジェリーは逃亡を図る。それに気が付いたマージは署に連絡を取り捜査網を張らせる。

 

 一方、カールは持ち去ったスーツケースの中を見て驚く。こんなに金が入っているなんて。鞄の100万ドルから8万ドルだけを出して、残りの金の入った鞄を街道の脇の雪の中に埋める。後で取に来るつもりなのだ。

 アジトに戻ると、ゲアがインスタント食品を食べながらテレビを見ている。誘拐したジーンは死んでいる。

「急に騒ぎ出したんだ」

 ゲアはカールに説明する。無表情で何を考えているのかわからない。カールは4万ドルをゲアにわたし、こんな奴とは縁を切ろうと考える。

 その後、車をどちらが取るかでもめる。ゲアはカールをまさかりでたたき殺す。

 

 ムース湖を巡回中のマージはカールとゲアが乗っていた車を見つける。こっそりと近づいていくと、木材を粉砕する機械でゲアがカールの死体を粉々に砕いているのだった。

 

マージ

 

ゲア

 

 マージに気が付いたゲアは走って逃げるが、マージが足を撃ち捕獲される。

「わずかなお金のために何人も人を殺した。人生は豊かなものよ。こんなにいい天気」マージはゲアに話すが、ゲアは黙って相変わらずに不表情で静かに座っている。

 

マージ

 

 その後、逃亡中のジェリーは潜んでいたモーテルで逮捕される。

 

 夜、ベッドでノームがテレビを見ている。その横にマージが入り込む。

「絵が3セントの切手に採用された」そうノームがいうとマージは喜び、ノームを励ます。

「私たち、幸せよね」マージがノームに聞く。ノームは「愛してるよ」と答える。

 

マージ      ノーム

 

「あと2カ月だ」ノームはマージの腹をなでる。

「あと、2カ月」マージは答え、ノームに寄り添う。

 

 

普通に暮らしている小市民が、よからぬことを企む。

殺漠とした犯罪者が儲け話に乗っていく。

尊大な経営者が傲慢なふるまいをする。

殺人事件を地道に解決していく警察署長。

その優しい夫。

人生はさまざまである。

 

 

 

ファーゴ(字幕版)