音も立てずに晴れていた。
人が足早に一通り通り過ぎて、
朝と昼の忙しなさのちょうど合間のような時間。
社会という常識のレール上を走る列車に
順調に乗れた人達には、恐らく縁のない時空の狭間。
そんな少し異空間味を帯びたこの時間にも
結構街へ繰り出す人達が居るのだと、今更知ったりもする。
いつもと行動時間が違うというのは、
こんなにも不思議な感覚がするものなのだ。
それでもいつもと変わらない足早な自分の歩調に、
無意識に足を任せて歩を進めていく。
待ち時間が長くて多くの人に舌打ちをされていた交差点の信号機も、混雑で乗るのを諦めていたエレベーターも、
今日はどこかしら穏やかな佇まいに感じる。
そんなふうに気づいたところで、
ゆっくり立ち止まる時間は設けられていない。
でも、少し気分がリセットされるような、
何となく世界が変わったような気がして、
一人静かに嬉しくなったんだ。