生活習慣病の予防 -4ページ目
2012年07月02日

無酸素運動と有酸素運動、両方やるなら順番はどちらが先が良いか?

テーマ:運動療法

スポーツジムに行き、まずジョギングマシーンで汗を流してから筋トレをやるか、筋トレをやってからジョギングマシーンへ行くか。どちらが良いだろうか。


もし健康な人や2型糖尿病の人が体重の減量を目的としてやるなら、筋トレ→有酸素運動が良いようだ。

筋トレをやると血中GHレベルが上昇する。無酸素運動→乳酸生成→GH分泌促進→筋肉生成・脂肪分解へ。GHレベルが高いとブドウ糖より先に脂肪が消費されやすくなる(文献1)。その状態で有酸素運動をやるとより効率よく脂肪が燃焼する。


1型糖尿病でも、先に筋トレをやった方が運動後の低血糖が減り良いようだ。12人の1型DM(平均年齢32歳)の方に、45分ずつレジスタンス運動と有酸素運動をしてもらう。やる順番が血糖値に与える影響を調べた。すると、運動後の低血糖の持続時間や重症度は有酸素運動を先にやった方が大きかった(文献2)。考察には、GH以外にカテコラミン関与の可能性が書かれていた。


文献1:Med Sci Sports Exerc 39:308-315, 2007


文献2:Diabetes Care 35:669-675, 2012

2012年06月16日

脈圧とタンパク尿

テーマ:糖尿病

脈圧(収縮期血圧-拡張期血圧)の適正値について質問を受ける事がある。

大動脈弁閉鎖不全症があって脈圧が開大しているのでなければさほど気にしなくても良いだろう、と思っていたが、糖尿病患者に限って言えば、脈圧が大きいと収縮期血圧・拡張期血圧・平均血圧と独立してタンパク尿が増えているという。多変量解析の結果、脈圧13mmHg増加でOR=1.08 (1.01-1.14; p=0.02)。日本人約23万人の健診データベースの解析、宮崎大学/山形大学/東京大学からの報告。


文献: Diabetes Care 35:1310–1315, 2012

2012年06月13日

ORIGIN試験

テーマ:糖尿病

6月11日にアメリカ糖尿病学会でORIGIN試験の結果が発表された。


対象:既知糖尿病(82%;内服薬1剤以下でHbA1c 9%未満)、新規糖尿病(6%)、境界型糖尿病(12%)の計12537人。女性35%。40カ国が参加。試験期間は6年強。BaselineでBMI=29、血圧146/84、TCh 190 LDL 112 HDL 46、TG 140、高血圧80%合併、心血管病の既往59%、βブロッカー53%、レニン・アンギオテンシン系薬69%、スタチン54%。


目的:持効型インスリン(glargine)とオメガ3脂肪酸(1g/day)の投与が心血管死亡を減少させるかどうかを検証すること。


結果:心血管死亡率は、どちらも対照群と不変であった。



全体の結果は上記の通り。

インスリン群とオメガ3脂肪酸群に分けて2本の論文がNEJMに発表された。



サブ解析の中では、特に境界型糖尿病(IFG/IGT)のglargine armの試験結果は興味深かった。


IGT/IFGを対象にインスリンglargineをFBG<95となるように投与する。Metforminの併用を認めている。

必要だったインスリン量は体重kgあたり1年後に0.26単位、2年後以降は約0.3単位、6年後は0.33単位。

OGTTで新規糖尿病の発生はOR 0.72と抑制されたが、体重は1.6g増加、BMIで29→30と上昇した。


インスリン量が結構必要だったのが印象的。逆に言うと肥満糖尿病におけるインスリンの効果はこの程度だということ。


追記: 

①ORIGIN研究において、インスリンglargine(ランタス)使用による発がんのOR=1.0であることが発表されたとき、会場に拍手が起きた。糖尿病専門医たちの安堵の気持ちが表れていたように感じた。

②サブ解析の結果はNEJMに掲載されていない。詳しい学会発表はEASDで予定されているようだ。

2012年06月13日

2型糖尿病における医療の役割

テーマ:糖尿病

①発症初期に糖毒性を解除する手助けを行い、食事・運動療法のみでの正常血糖の維持を目指す。


②膵β細胞機能が十分でない、あるいは節制が不十分で上記が達成できない場合、合併症のリスクを最小化するために投薬する。


③合併症の早期発見・治療。


2型糖尿病における医療の役割とは、上記①~③ではないか。

ORIGIN研究は②に関する新知見を与えてくれた。

2012年03月27日

西日本は脱原発を

テーマ:社会

最近のニュースを見ると、脱原発を提唱する人が増えているようだ。

文化人だと、坂本龍一さん、大江健三郎さんなど。


今回の福島原発のダメージの大きさを考えると、一般常識的な考え方からすると当然かなと思う。

東京では、東日本の野菜などを気にせずに購入する人ももちろんいらっしゃるだろうが、一切買わないという考え方の人も多くいる。例えば、食材の宅配サービスでは「西日本野菜セット」を発売している大手業者もいるぐらいだ。

身の回りに、西日本に転居する人もいないではない。医学の学会でも、招待された海外の研究者が東日本への来日を拒否するため、会場が西日本に変更されたりしているのも事実だ。


もし西日本で福島と同様な原発事故が発生したら、日本にとって致命的な事態になるのは間違いない。国家としてのリスク管理をするのであれば、西日本は脱原発、という選択肢もありではないか。海洋汚染のリスクからは、山脈を隔てた日本海側は脱原発とすべきかもしれない。東北~関東が程度の差はあれど、すでに放射能汚染されているのは否定できない事実だ。想定外のリスクを想定するというのは論理矛盾であり、原発が存在するならば事故はありうる、としか言えない。経済的に激変緩和措置が必要なら、安全管理を厳格化するとともに西日本の脱原発のリミットを明確にしてほしい。国家の存亡をかけたリスク管理と言えるのだから。


追記; 福島の特に居住エリアでは除染を徹底してやるべきなのはもちろんだが、除染が不可能な汚染地帯は農業を断念し、原発もむしろ増設し工業立県にした方が良いのではないか。このような大事故の後は、思い切って政治的に動かないと放射能被害がかえって拡大するように思う。当事者が感情的になるのは当然でありしかるべき配慮を受ける権利があるが、日本全体の利益を考える為政者は感情的に行動してはならないだろう。農業は西日本でやってほしい。輸送コストが多少かかっても購入する人はたくさんいる。


追記2; 海洋汚染を調査し、特定海域の海産物の注意点について国内のみならず国際社会に発表していくことも、日本の責務だろう。事故後の継続的な対応にこそ日本の真価が問われているのではないか。

2012年01月28日

C型肝炎ウイルスの新薬

テーマ:消化器

HCVのgenotype1bでpeginterferon+ribavirin治療に無反応だった10人を対象に、経口抗ウイルス薬2剤併用療法がおこなわれた(第2a相臨床試験)。結果、1人が副作用(黄疸)で中止となったが、9人が治療を完遂、8週でウイルスが検出できなくなり、12週、24週の治療終了までその状態が維持された。我が国虎の門病院(製薬会社はブリストルマイヤーズ)からの報告(文献1)。


その後、2剤併用療法と、2剤+peginterferon + ribavirinを比較した第2a相臨床試験の結果も発表された。こちらの報告では、2剤併用11人中4人で12週および24週でウイルス消失。2剤+peginterferon+ribavirinでは10人全員が12週でウイルス消失、そのうち9人が24週でもその状態を維持していた(文献2)。


新薬はinterferonにとって代わるとまではいかないのかもしれないが、画期的な報告であることは間違いない。より規模を大きくした第三相臨床試験の結果が待たれる。



文献1 Hepatology 2011 Oct 10. [Epub ahead of print] 

文献2 N Engl J Med 2012 Jan 19;366(3):216-24.

2012年01月13日

特発性肺線維症の新薬となるか

テーマ:呼吸器

チロシンキナーゼ阻害薬(BIBF1120)の第二相臨床試験で、Forced vital capacityの低下を用量依存性に食い止めるという結果が出た。Nを増やした第三相臨床試験でも良い結果が出るかどうか。


Efficacy of a thyrosine kinase inhibitor in idiopathic pulmonary fibrosis.

NEJM 365:1079-1087, 2011

2011年12月08日

新型のCGMが認可

テーマ:糖尿病

Medtronicの新型のCGM (iPro Professional CGM)が認可されたようだ。


ぐっと小型化し、腹壁に接着するような形の機器のようだ。重さは約5g。


補正用の自己測定した血糖値の入力は、測定5分以内ではなく、あとで入力する。


防水になっており、装着したままシャワー・入浴可と。


旧型と同様、リアルタイムで測定結果を見ることはできない。データは有線でコンピュータに取り込む。


定価80万、実売はかなり廉価。発売は来年3月ぐらいとのこと。

2011年11月24日

生活保護の医療扶助の自己負担導入について

テーマ:社会

生活保護の医療扶助の自己負担導入を政府が検討するというニュースがあった。


妥当かもしれない。


というのは、最新の治療というのは保険適応になっていてもそれなりに高い。なので、費用面で最新治療導入に二の足を踏むケースも当然ありうる。それが、生活保護になると全額扶助されるので、かえって導入しやすいなどの矛盾がある。


例えば、ジェネリック医薬品、治療上重要なホルモン製剤(インスリン、甲状腺ホルモンなど;インスリンはジェネリックを見たことが無い)に関しては全額扶助というのならば、分かりやすいかもしれない。もちろん制度設計は難しいだろう、例えば高額な抗がん薬や生物学的製剤は・・・。静注用抗生剤は・・・。厳密に考えるならば、日本の財政状況と、治療によって得られるQALY(Quality Adjusted Life Years)に基づく費用対効果などの概念も取り入れて検討しなければならないだろう。


例えば、先進国で健康寿命を1年延ばすのに許容される国費は400~500万円程度が上限と考えられている。そういった上限額も引き下げられる方向に行く可能性がある。例えば、透析も自己負担が生じる可能性があるのか・・・。世界の透析患者の約4割が米国と日本で占められているという状況も変わっていくのか・・・。


税金の使い道を考え、なるべくあるべき姿を目指すというのは必要だろう。・・・それにしても、日本は余裕がなくなってきたんだなあ。


12/11追記 生活保護費の半分が医療費だという。大病を患い療養している間に職を失う(クビになる)人の割合が多いのだろうか。

2011年11月05日

『糖尿病に克つ新薬最前線』

テーマ:糖尿病

『糖尿病に克つ新薬最前線』

鈴木吉彦著

朝日新書(朝日新聞出版)


たまたま、海外での研究会で上記の本の著者の先生とお話する機会があった。

治療を受ける側の視点に立った先生のお話が合理的で明快だったため、上記の本を購入して読んでみた。

感銘を受けた。

新薬最前線と題にあるが、糖尿病に関する一通りのことが書いてある。

無駄な文章が見当たらない。

お薦めの一冊。

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