第1話:暴走
古い中古車販売店で中古車を購入した主人公、ユウキは、その古めかしい車に一目惚れしてしまった。古びた外見とは裏腹に、エンジンの音も静かで乗り心地も良かった。しかし、ある日、ユウキはこの車でドライブに出かけようとしたときに、不気味な出来事に遭遇する。
車が道路を走り出した直後、突然エンジンが異常音を立て、ハンドルが効かなくなった。ユウキはパニックに陥り、必死に車を止めようとするが、車は勝手に加速し始め、周囲を暴走し始めた。人々は驚き、道路では大混乱が起きていた。
ユウキは携帯電話で助けを求めようとするが、圏外になっており通信ができない。車はますます暴れ狂い、周囲の車や建物に衝突しつつも止まる気配を見せない。ユウキは車内で必死になってエンジンを切ろうとするが、車はまるで自我を持っているかのように抵抗し続けた。
やがて、ユウキは諦めかけていたその時、ふとした思いつきでラジオをつける。すると、不思議なことに、車はラジオから流れる古めかしい音楽に反応し、徐々に落ち着いていく。ユウキはその音楽が車を鎮める鍵だと気づき、必死でその音楽を流し続ける。すると、車は徐々に速度を落とし、やがて完全に停止した。
その後、警察や救急隊が駆けつけ、ユウキは無事に助けられた。しかし、この出来事以降、ユウキはその車に乗ることを決してしなくなった。彼はその車が何者かに操られていたのではないかという疑念を抱え続けた。そして、その古い中古車は再び販売店に戻され、他の誰かに売られる運命を辿ることになるのだった。
最終話:体験
その後、ユウキはその恐ろしい体験から立ち直るために、心の癒やしを求めてさまざまな場所を訪れるようになった。その中で、彼は偶然にも料理が自分を癒してくれることを発見した。
ある日、ユウキはふとした衝動に駆られ、郊外の小さな町にある有名なチキン料理店を訪れた。店内には独特の香りが漂い、揚げたてのチキンが次々と出てくる様子が目に入る。ユウキはメニューを見ると、「秘伝のスパイスで揚げた特製フライドチキン」という言葉に惹かれ、それを注文した。
フライドチキンが運ばれてくると、その香りに思わず鼻をくすぐられる。一口食べると、パリッとした衣とジューシーな肉の絶妙なバランスに感動した。ユウキは久しぶりに笑顔を取り戻し、心が軽くなったように感じた。
以来、ユウキは定期的にそのチキン料理店を訪れ、フライドチキンを食べることで心を落ち着かせていた。あの恐ろしい出来事から立ち直る手助けをしてくれたのは、まさにこのフライドチキンだったのだ。
ユウキはあの車での恐怖体験を忘れることはできないが、料理の力を信じ、明るい未来に向かって歩み始めたのであった。