日々此れShow人

日々此れShow人

音楽活動の予定や活動記録、仕事の事など、日々思う事などを書いています。

以前から観たかった映画「生きる Living」がアマゾンプライムで公開になったので早速観ました。
黒澤明の1952年の名作映画を、ノーベル賞作家のカズオイシグロが脚本を手がけ、イギリス版としてリメイクした作品(2022年作)です。

淡々と無難な役所勤めをしていた主人公は、自身の余命が短い事を知り、初めて生きる意味を見出すという話。
最初はやけくそになり、仕事もサボって気ままに時間を過ごす彼でしたが、ふと職場に戻り、意外な行動を取ります。

永遠のテーマでもあり、また実に身近で、自分事でもあるテーマと言えますね。

同様の映画で記憶に残るのは、

「最高の人生の見つけ方」2007年
主演:ジャックニコルソン、モーガンフリーマン
共に死期を悟った病院で同室の2人が意気投合し、自身がやり残した事をメモに書いて、旅に出かけ、全てをやり尽くしていく、という話。

「グッバイリチャード」2022年
主演:ジョニーデップ
つまらない講義をしていた大学教授のリチャードは、ある日突然余命宣告を受け、妻から不倫を打ち明けられ、娘からは同性愛者である事を打ち明けられ、散々な状況に陥る。
それを機に、彼は破天荒な教師へと変わり、多くの学生達に影響を与え始める。。

何れも最後が話のミソなので言いませんが、
人は最後にこそ生き様が見える、とよく言います。

自分も、今までそれなりに多くの人々の最期を見てきましたが、これはつくづくその通りだなぁと痛感します。

友人に、余命2年、と医師に宣告された男がいました。
彼は仕事をたたみ、議員になる、と言い出しました。
それまで、自分の余生が短くなったら、などと考えた事もなかったでしょう。
いつかは、いつかは、と思っていた事だった様です。

2年あれば、実際、立候補して議員になる事はできるかもしれません。(健康に関する規程があるのかどうかは知りません)
また、上記の映画の様に、半年から1年あれば、その前半だけでしょうけど、やり残した事を体験したり、短期のタスクをやり遂げたり、世話になった人達に恩返しする事もできるかもしれません。

ある弾き語りをしていた知人は、肺がんになって余命宣告されてから、俺は歌いまくると、仕事を辞めて、
夜な夜なライブ喫茶に現れました。終いには酸素ボンベを持ってやってきました。

ところで、
昨日、恩師の葬儀に参列しました。
人の幸せな逝き方はピンピンコロリだ、というのが口癖だった先生でしたが、まさにその通り、83歳で、いくつかご病気もされ、徐々に弱っては行きましたが、亡くなる前夜までご自宅で冗談を言いながらカラオケを歌って、翌朝亡くなっておられた様です。
奥様は、悔いのない人生だったと思う、と断言しておられました。

自分にも、やり残している事がいくつがあります。
しがらみを断つ事はおそらく痛みを伴い、また何かしらの犠牲を伴う事でしょう。
しかしこの、俺の魂は、体は、一体誰の物か。
己は今まで充分に尽くした。
苦しんだ。
よくやった。

Livingを観て、思ったのはそれでした。