兵庫県議会★漫遊記 

2章 参議院議員選挙の死闘

【第27回】

 

20時過ぎに開票所へ到着すると駐車場の前にタクシーが数台止まっている。何かなと思っていると続々と開票所の前にタクシーが止まり、中から銀色の箱を持った人が出てくる。

 

あれは投票箱だ。

 

100ヶ所を越える投票所からどのようにして開票所まで投票箱を運ぶのか、常々不思議に思っていたのだが、なるほどタクシーを使って市の職員が運ぶのである。

 

その作業を横目に見ながら開票所になっている西宮市立体育館の入り口を入ると、たくさんの人でごった返している。どうやら開票作業を行う方々のようだ。入り口の横、大きなダンボールに目をやるとまるでゴミ山かと思うほど大量のスリッパが入っている。

 

だいぶ昔から使っているのであろう、普通ふかふかの足裏部分がペラペラでビジネスホテルの使い捨てスリッパのような履き心地である。

 

開票所となる体育館のアリーナに歩を進めると200人近くの人でごった返し、たくさんの投票箱が置かれている。

 

私が担う開票立会人の席は前方のステージの上にあるようだ。

 

開票立会人とは各候補者につき1名ずつ選任され、開票が不正なく行われたか、不明票や無効票の確認を行う。

 

不明票が数百票単位で発生するのだが、これを確認すると結構おもしろい。「〇〇候補がんばれ」などは無効票としてわかりやすいのだが「NHKをぶっこわせ」とか「〇〇だけは当選させるな」などの主張したもの「安田貴之」など候補者の名前とミックスしたもの、花の絵を書いたもの、市議会議員や自分の名前とおぼしきものを書くもの、中には「ウルトラマン」や「おぼっちゃまくん」など明らかにおふざけで書いているものもある。

 

しばらくすると開票作業がはじまった。

 

刻々と開票作業が進む。

 

ここで少し、開票の流れを説明すると、

①まず200個近い鉄製の箱から10台近くあるテーブルの上にバサッと票が出される。

②それを人海戦術で束にまとめていく。

③その束を次のテーブルへ運ぶとそこで10台ほどある画像診断ができる機械によって各候補者ごとにまとめられる。字が汚く判別できない票はここで一定数はじかれる。

④機械に排出されたそれぞれの候補の票を作業員が集めて次のテーブルへ。

ここでは各候補ごとにテーブルが割り振られており遠くから眺めていても何となく票の多い候補と少ない候補が見て取れる。作業員が全ての票をチェックし有効票であるか確認する。

⑤有効票であることの確認が済んだ票は次のテーブルへ運ばれ、お札をカウントするような機械で票数を確認する。

500票ごとにまとめられた票は次のテーブルへ運ばれ、担当者によってパソコンへ入力され得票数として積みあがっていく。

⑦登録された票は、どの候補がどれだけ得票しているかがわかるように開票立会人の前にある机に並べられる。

ざっとこのような流れで開票作業は進んでいくのである。

 

(つづく)

※この物語は事実を基にしていますが実在の人物とは関係ありません、また一部脚色が含まれます。