(A)20111101elucidation | 講師対談 〜僕らの学問〜

講師対談 〜僕らの学問〜

当ブログはTwitter上での国語講師城福博之と英語講師天藤崇のバトルのまとめや補足を行う場所です。内容に関するご感想はご批判を含め大歓迎ですが、真面目に議論をする気のない方やひやかし目的での書き込みはご遠慮ください。

[Hiroyuki Jofuku 2011.11.01]

あたりには生駒の山々が月に照らされ、美しく横たわっている。「静かな夜だな・・・」周平は呟いた。最近の煩雑さにげんなりした周平を労わるように風景は広がっていた。「忙しい事はいいことなんだ・・・」また呟いた。それは自分に言い聞かせるようだった。

Nothing is seen about but the peaks of Ikoma mountains beautifully illuminated by a dazzling moon. "What a silent night," Shuhei utters in a mutter directed to nobody but himself. The grandeur of the scenery soothes his weariness from the bewildering chores. "Busyness is a bliss," Shuhei proclaims in another mutter, this time as if to preach a sermon to himself.
(月明かりに美しく照らされた生駒連山の山々が見える以外はあたりには何も見えない。「何て静かな夜なんだろう」周平は誰に言うでもなくつぶやく。雄大な景色が途方に暮れるような雑事にうんざりしていた彼を癒していく。「忙しいことは至上の喜びさ」周平はまたつぶやく。今度はあたかも自分自身に訓話を与えるかのように。)


小説体の文を英訳する際には、かなりの語彙力が必要になります。そういう意味で、今回の英文が語彙の面では一番難しくなってるかもしれませんね。まあ、語彙なんてものは、知ってれば全て簡単なので覚えてしまえばしまいです。
さて、小説の英文なので多少ルーズな文体で書く方がむしろ雰囲気は出るんですが、あまり崩すと自己満足になるだけで読む人の勉強にならないので、割とフォーマルな文で書きました。小説っぽいといえば時制を現在形に統一して臨場感を演出している所くらいでしょうか。あとは、ちっちゃなコダワリなんですが、最初の情景描写の部分と周平の最初のつぶやきのト書きの部分に敢えて同じbutを用いて対句的にするというエフェクトをかけています。イメージとして、周平の目線カメラと、もっと引いて周平の姿を含めた全景を撮っているカメラの二台で撮った映像をクロスしているようなイメージなんですよね。その辺りを鑑賞しながら読んでもらえると幸いです。