(J)20111101現代文解説 | 講師対談 〜僕らの学問〜

講師対談 〜僕らの学問〜

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あたりには生駒の山々が月に照らされ、美しく横たわっている。「静かな夜だな・・・」周平は呟いた。最近の煩雑さにげんなりした周平を労わるように風景は広がっていた。「忙しい事はいいことなんだ・・・」また呟いた。それは自分に言い聞かせるようだった。




今回は小説風につぶやいてみました。


登場人物の名前に妙に見覚えもありますが・・・ま、そこはおいといて解説していきます。




小説読解時の鉄則でもありますが、風景描写はどういったことを表現したいのかを把握するべきです。


今回の場合、周平のつぶやきからもわかりますが、静かな夜で、「呟いた」ということはどうやら周りに人はいなさそうである。孤独でかつ静かな夜ですね。




 そして、その後の「煩雑さにげんなり」という表現を用いてその静けさを強調しています。つまり現在周平は全てのことを飲み込んでしまいそうな静寂の夜に一人黄昏れているという状態ですよね。「げんなり」はセンター試験でも出題されそうなものですね。①疲れてぐったりしている。②同じ事に嫌気がさしているの意味は知っておきましょうね。




 また、人の卑小さと「なにをそんな小さいことで悩んでいるのか」と人を包み込む自然の雄大さが「周平を労るように」で表現されています。小説読解ではこの場面のように身体接触は一元論的なイメージで理解するとわかりやすいです。




 最後に「忙しい事はいいことなんだ」はそのまま字面だけを追ってはだめですよね。その後に「自分に言い聞かせるように」とあるので、あくまでも強がり、あるいは忙しさに負けそうになっている周平を把握してくださいね。ここでは日々の忙しさに振り回され、自然の雄大さに虚勢をはるしかないような弱い人間を読み取っていきましょう。、