はじめに思いついたのは、大きな川のイメージである。川は埼玉あたりのどこか山の奥にこんこんと湧き出る水たまりを源流に、今では東京の高層ビルの谷間を大流となってどうどうと流れている。

 僕は橋の上にいる。川にかかった大きな橋の上から、ながれる水をじっと見ている。
僕はそんなつもりもないのに飛び降りたくなる。橋から身を投げ出してしまいたいと思う。

 僕はおかしいのかもしれない。川のまんなかから頭蓋骨だけが顔を出して、僕を睨んでいる。きっと肥大化して僕を飲み込むだろう。それでもよく、それだからいい。

本当の強度は。美しさと、吹いたら滅んでしまいそうな街との間にある。
街の駅では、つぶれた青い風船が、たったひとつだけ転がっている。