嫉妬は愛の…13 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

13


ロビーに着くと、ちょうど准がホテルのドアから出て行く後ろ姿が見えた。歩き方が怒ってる。


「准!待って!」


あたしは辺りを憚らず大声で叫んだ。


准が振り向く。が、一瞥すると無視して回転ドアを押した。


「待ちなさいってば!…あっ!」


慌ててすっ転んだ拍子にヒールが脱げて転がった。


するとその場にいた白人の男の人がヒールを拾った。


そして、それを持ってそばによると、


「Are you Okay?」


と言ってあたしの足に触れてヒールを履かせてくれようとした。


「あ…」


と、そこへ准が駆けつけて来て、彼の手からヒールを奪い取った。



准はため息をつくと、跪いてあたしにヒールを履かせてくれた。


「立てる?ケガしてない?」


まだぶっきらぼうな言い方だけど…


「…優しいのね」


「普通だろ」


「でも怒ってたんでしょ?」


「怒ってた、じゃなくて、怒ってる、だ」


「現在進行形?」


「ああ。せっかくのデートが台無しだ」


「あたし、昌さんのデートも台無しにしちゃった」


「まさか、美人局を阻止するために昌さんを誘ったのか?」


「なるほど。その手があったか」


「ふざけるな」


「誘うわけないでしょ!」


「じゃ、誘われたのか」


「…ない。誘われて、ない!」


「じゃ、なんで胸にカードキー差し込まれてんだ?どうやったらああいう状況になる⁈」


「ごめんなさい。あれはちょっと…油断しました」


あたしは准に経緯を説明した。


「…昌さんって…まだ聡美のこと好きなの?」


「それは無いわよ。だって女の人とホテルに来てるのよ?まだあたしを好きなら、デート邪魔されて悔しがる?」


「それとこれとは別かもしれない」


「何言ってるの。ねぇ、帰りましょう。賭けはなかったことにして」


「どういうこと?」


「今日は准を怒らせるようなことをしたあたしの負け。悪かったわ。ほんとにごめんなさい。だから帰ってゆっくり…」


「ゆっくり…?」


あたしは准の耳に唇を寄せて、囁いた。


「お仕置き…して…」


准がカッと赤くなる。ニヤける口元を手で押さえて俯いた。


それから准はジャケットの内側に手を入れた。


何を取り出すのかと思ったら…


准がトランプみたいにカードキーを指に挟んであたしに見せた。


「あら。手品みたい。ちゃんと部屋取ってたんだ」


准はニヤリと笑って、


「家には帰らない。お仕置きは10階で」


とあたしの胸元にカードキーを差し込んだ。ヒヤリと冷たいカードの感触。


「…10回もするの?」


「10階!」


准は赤い顔して上を指差した。