嫉妬は愛の…10 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

10



だが彼女を乗せたエレベーターのドアは昌さんの目の前で虚しく閉まった。


昌さんはポケットに手を入れて、ため息をついた。


「あの…ご、ごめんなさい」


昌さんは片手でネクタイをゆるめると、


「満足か?俺が彼女を抱かなくて」


と投げやりに言った。


「言い方!追っかければ?」


「もういい」


「騙されてもいいくらい惚れてるんじゃなかったの?」


「もう今夜はダメだ」


「どうして?」


昌さんはあたしの言葉を無視して、ジャケットの内ポケットからカードキーを取り出した。


「プレゼント」


と言ってあたしに渡す。


「宝先生とどうぞ。支払いは済ませとく」


「は?何言ってるの」


「いいから。無駄になるよりマシだ」


「もらえるわけない。だったら払う」


「じゃ、そういうことで」


「とか言って払うつもりでしょ。もらえない」


「いいから」


押し問答の末、昌さんはなんとカードキーをあたしのワンピースの胸元にちょっと差し入れた。カードキーの冷たさが素肌にヒヤッとする。


「…っ!ちょっとエッチ!」


って言ったまさにそのとき、エレベーターのドアが開いて、あたしたちは同時に振り向いた。


「あ…!」


開いたドアの向こうで、准が険しい顔をしてこっちを見ていた。


上品なチャコールグレーのジャケットと同色のネクタイ。黒のシャツ。ポケットから少しだけ見せてるチーフは茶と青で、その青があたしのワンピースの蝶の色とリンクしている。


ワックスで固めた艶のある黒髪。力強くきれいな瞳。


准は片手をポケットに入れ、もう片方の手でちょっと唇に触れ、射抜くような鋭い眼差しをあたしの胸元に注いだ。


蝶の刺繍とあたしの白い素肌に触れているカードキーとそれを持っている昌さんのきれいな指…。


と、准は閉まりかけたドアをガッと手で押さえて、片眉を上げた。


「…何、やってんだ?」