膝枕 6 条件と佐久間 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

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益々の発展を祈念し、答辞と致します。令和5228日。卒業生代表、仁科真凛」


条先生の眼差しに緊張しながらなんとか答辞を読み終えると、先生は黙ってパイプ椅子から立ち上がった。


ポケットに手を入れたまま階段を上り、壇上の私のそばに立つ。



ふわっと条先生のいい匂いが漂う。


先生は私の手から答辞を取ると、それを広げて、「いい?」と私を見た。



キラキラした目にドキッとする。



「まず、姿勢」


と言って背筋を伸ばす。私は先生に倣って隣でシャンと姿勢を正す。



先生が手に持った答辞を読み始める。



「梅の蕾もほころび、寒さの中にも、春の息吹が感じられるようになりました」



先生の声で読まれる答辞。なんか新鮮。でも、案外、いい。黒のジャケットが似合う大人の色気ダダ漏れな人なのに、声に少年っぽさがあるからかな。



……御来賓の皆様」


先生はそこで顔を上げた。


「で、来賓席見る」


と片眉上げて私を見た。


「はい」


私は先生と一緒に左側にある来賓席に目をやった。



「校長先生はじめとする先生方、で、教員席」



「はい」


今度は右。


「保護者の皆様、在校生の皆さん、で、後ろの方」


先生が片手を前に出し、私はその先を見渡す。


「はい」



「卒業生一同、心より御礼申し上げます」



先生はそこまで読むと、



「で、一礼」


と頭を下げた。



「はい」



「軽くでいいから」



「はい」



「ここまで、やって」



と、答辞を手渡された。



ウソ⁈こんな細切れの指導なの⁈私、いつ帰れるの?



と、そこへ健ちゃん先生が現れた。



ミントグリーンのパーカーに白のパンツ。パーカーが大き過ぎるのか健ちゃん先生の顔が小さ過ぎるのかどっちにしろ、ビジュアルが二次元。



私の隣で佐久間先生が、キャッって、飛び跳ね、健ちゃん先生に手を振った。



健ちゃん先生は髪をかき上げながら大股で花道を歩いて来る。



それを見て、条先生が、



「カッコつけやがって」



と呟いた。



すると佐久間先生が、


「カッコつけてんじゃなくて、カッコいいんですよ!健ちゃん先生は!」


と抗議した。



「俺は?」



「いや、条先生ももちろんカッコいいですよ!」



「どっちがカッコいい?」



「いや、どっちってえ?」



ふふ。条先生、佐久間先生を困らせて楽しんでる



「どっちもですよ!条先生は条先生で大人の色気が半端無いじゃないっすか。で、健ちゃん先生は、あの、見た目は可愛いんですけど中身はめちゃくちゃ男らしいってか



すると、階段を上っていた健ちゃん先生が、



「お前はなんの話をしてるんだよ。佐久間」



と言って佐久間先生の隣に立った。



「答辞の指導じゃないの?え?答辞の指導でなんで条が可愛いだの俺が色っぽいだの」



「いや、逆、逆!可愛いのは健ちゃん先生で、色気があるのが、条先生」



「え?そうなの?じゃ、俺には色気は無いわけ?」



「いや、あります、あります!」



「じゃ、あってんじゃん」



「あってます、あってます。でも、どっちかって言うと色気では条先生が勝るっていうか



「あ、そう。じゃ、俺帰るわ」



「なんで?待って待って!」



「条に指導してもらえばいいじゃん。2人もいらないでしょ」



「いや、なんで拗ねるんですか!条先生、数学!健ちゃん先生、国語だから!指導して下さい。お願いします!」