欲望の導きへ続け 9 嫉妬 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

健ちゃんが背中を優しく撫でてくれる。


「大丈夫だよって…台風のこと?それとも、佐久間さんのこと?」



「両方」


気持ちを、見透かされてる…。


さぁ寝ようって健ちゃんが私を抱き上げて寝室に連れて行き、優しくベッドに下ろしてくれた。



仰向けになって、健ちゃんを見上げる。



マイナスの感情には蓋をしよう。でないと、自分の小ささや醜さが露わになって自己嫌悪に陥るから。


だけど、蓋をしたって無くなるものじゃないし…その上、健ちゃんにはもうバレてしまっている…。


佐久間さんを羨ましいと思う気持ち。健ちゃんがもし佐久間さんを好きになっちゃったら…?って、少しだけ不安になる気持ち。




「…くだらないこと、考えなくていい」



健ちゃんが真面目な顔で私を見下ろす。



…考えたくないよ。私だって。



「ずっと…師弟関係のままがよかった?俺と」


「ううん」


「だろ?」


でも…だから、不安になるんだよ。


今の健ちゃんは信じられても、未来の健ちゃんは…?


卒業しても教え子の私との間に一線を引いていた過去の健ちゃんと、私を妻として愛してくれる今の健ちゃん。


どっちも同じ健ちゃんなんでしょ?


健ちゃんはクールだけど、優しいから…自分を慕ってくれる一生懸命な人をほっとけない。そういう性格。


心配したって仕方ないのはわかってるけど…不安な気持ちはどうしようもない。


こんな嫉妬や不安を吐き出したところで、健ちゃんを困らせるだけだし…


蓋をするしか、ないよね…。


すると、ふいに、健ちゃんが髪をかきあげ、



「嫉妬してんだろ?佐久間に」


って…


え⁇そんな直球⁈


すぐに言葉が出てこない。


「ゆかり、それって昔の自分に嫉妬してるようなもんだよ」



「そ…そう?」


「そうだよ」


「だから『師弟関係のままがよかった?』って聞いたの?」


「うん。俺と佐久間は師弟関以上には、ぜっったい、ならない」




「どうしてわかるの?」



健ちゃんがじっと私を見つめる。




「だって、俺とゆかりじゃないから」



そう言って、いきなりキスをした。


「健ちゃ…ん…っ…」


唇の間から挿し込まれた舌が、私の舌を絡め取った。


雨粒が激しく窓を打つ。


何度も角度を変えて繰り出される健ちゃんの深くて熱いキス。


息苦しいくらいのキス…。


自然と逃げるように体を動かしてしまって、健ちゃんに追いかけられて捕まって…ベッドが軋んだ。



健ちゃんが私の首筋に吸いついて、鎖骨をしゃぶる。耳を甘噛みして、囁く。



「ゆかりだから…一線を越えたくなったんだ…。ゆかりとだから…こうなったんだ…っ」