リビングのソファに並んで腰掛けると、さっきの話を思い出した。
聡美の白いパンツを穿いた太ももは、ムチムチしてて、確かに触りたくなる気持ちもわからなくはない。
「だからって触らないでしょ?普通は」
「まあそうだね」
俺は太ももを横目で見ながらグラスに口をつける。
「最初から、怪しかったの?」
「そうね。警戒はしてたわ」
「だからパンツスタイル?」
「ええ」
「でも…」
「なに?」
「いや…」
「なんなのよ?」
「聡美の場合、何着てても同じ…」
「はい?」
「だって…ほら…」
俺は少し上体をそらせて、聡美の頭から爪先までを眺める。
「色っぽいから」
「それ、褒め言葉?」
「もちろん」
聡美は、ハンと鼻で笑った。
「へーぇ。何着てても同じねぇ…」
え?なんか様子が…。
いや、だってこれ褒め言葉以外ないだろ?
すると聡美がタン!とグラスをローテーブルに置いて立ち上がった。
あっという間に服を脱いで、キャミソールだけになる。
「さ、聡美?酔ってる?」
薄く光沢のあるピンクベージュのキャミソールの下に、ブラとパンティはかろうじて隠れてはいるけど…
ムチムチの太ももは露わだし、ブラからはみ出した胸の上部がキャミソールを押し上げているのは明らかだ。
屈んでグラスを手に取るときに胸の谷間がモロ見えになり、グラスを持ち上げて足を組んだ拍子にパンティが少し見えた。
「どう?」
聡美が眉を上げて挑発的に俺を見る。
「何着ても同じかしら?」
「いや…それは着てないに等しい」
「着てるじゃないのっ」
「でも、そんな格好で人に会わないだろ⁇」
「うるさいっ!私だってね、一応気を遣ってるんです!」
聡美に食ってかかられて、俺は仰け反った。
「あなた男だから呑気にそんなこと言ってられるのよ!私だってね、仕事のときぐらい男がムラムラしない格好しようとしてるわけ!この体のせいでうんざりするほどセクハラにあって来たんだから!あなた、セクハラに合わないために服装に気を遣ったことなんて、人生で一度も無いでしょ⁈」
た、確かに…。
「痴漢に合わないかしらって警戒しながら電車に乗ったことある⁈ビクビクしながら夜道を歩いたことある⁈」
俺はブンブン首を横に振った。
「それが、男と女の違いよ!」
聡美は髪をかきあげて、グラスに入ったワインを一気に飲み干した。
俺は呆気にとられて言葉もなく、指先で唇を拭う聡美の横顔を見つめた。