ラストノート❼追っかけっこ | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?


「…だからかぁ」


「何?」


「お前とは、なんか波長が合うじゃん」


「健くんとは?健くんとも合うでしょ?」


「合わないね。あいつとはまっったく合わない!」


「とか言って」


「なに」


「好きなくせに」


「何言ってんだよ。そういう話じゃないだろ?」


「そういう話だろ?」



「違うよ。合う合わないの話で、好き嫌いの話じゃない」


「あ、そっか。…そうだね」


宝がニマッと笑って俯いた。


「何笑ってんの?」


俺は起き上がって座り直し、眉をひそめる。


「いや…」


宝はニヤニヤしながら下向いて首を振る。



「何か変なこと言った?」


宝は口元に手をやってまだニヤニヤしてる。



「何にツボってんだよお前」



「何って…全部」



「は?」



宝が上目遣いで俺を見た。




「条件コンビの全部がツボ」




「……」



俺は手にしていた数学雑誌をくるくると丸めて、


「何言っちゃってんの?生徒かよお前はぁっ」


って宝の頭をポカッとやった。


「いてっ」


「痛くねーだろっ」


ポカッ。


「なんで叩くんだよ」


「お前が変なこと言うからだろっ」


ポカッ。


「ちょっと…条くんっ」


もっかい叩こうとしたら、宝が勢いよく立ち上がってサッと避けたから、丸めた雑誌は空を切った。


「このやろ…っ」



「ストップストップ!」


宝がソファの後ろに逃げて両手を前に出す。


「待てっ!」


狭い条件部屋で追っかけっこになって、健の衣紋掛けを挟んで攻防してたら、背後でドアの開く音がした。


振り向くと、健が立っていた。


あ。


「…お前ら…俺の紋付挟んで何やってんの?そんなに俺がいないのが寂しいか」



「寂しくねーわっ!」



「何?健くん、もう終わったの?」


「どうせ忘れもんでもしたんだろ」


「当たり!名簿忘れちゃった。どこだっけな」


引き出しを開けて、髪をかきあげて中を覗く。


「あったあった。すぐ戻ってくるからさ、それまで俺の着物を俺だと思ってさ」



「いいんだよそんなことは。宝と遊んでただけだから」


「俺の着物で?」


「そうじゃない!」