娼婦とジョージ 3 楽しい夜に | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

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V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

そのとき、


「ちょいと!」


と店の女主人の声が響いた。



「私は見てたよ。先にちょっかいかけたのは、ガスト、お前さんの方だよ」


女主人はガストに歩み寄ると、目の前で立ち止まり、腕を組んだ。


「随分ツケがたまってるようだけど…?」


女主人に睨まれてガストはバツの悪そうな顔をした。


「ツケがたまるのはまだいい。ちゃんと後で払ってくれるならね。だけど…」


女主人はあたりを見回し、


「うちの店で騒ぎを起こしてごらん!あんたたちの○○○○みんな捻り潰して使い物にならなくしてやるからね!私ゃ容赦しないよ!」


と啖呵を切った。



一瞬しんとして、やがてガストたちは悪態をつき、ブツブツ文句を言いながら店を出て行った。




ジョージは、ふぅと息を吐いて帽子に手をかけ、俯いた。


「ねぇ…で?」


アイリーンがジョージの顔を覗き込む。



「…?」


「その気になったかい?」


「さあてね…」


ジョージは顔をしかめてそっぽを向いた。


「どうかな」


「ねぇ…私は…すっかりその気になっちまったよ!ガストのあの顔ったら!…あぁ、あんたに惚れちまいそう…!」


「よしてくれッ」


ジョージは瞬時に険しい顔をしてアイリーンを振り向いた。


「惚れた腫れたはごめんだ!あのガストって野郎に目をつけられるのもごめんだ!面倒を起こしてまた仕事を…」


ジョージは言葉を切って、ため息をついた。


「ハァ…。『俺ひとりなら上手くやれる』…?まったく…どの口が言ってんだ…」


口元を覆って俯くとジョージは首を振った。


アイリーンがジョージの腕を取り、しなを作った。


「さぁ…」


しばらく見つめあって、ジョージは、


「言っとくけど、もうこの店には来ない」


とアイリーンの顔の前で人差し指を立てた。


「じゃあ今夜が最後ってわけね」


「…そうなるね」


うふふ、とアイリーンは笑った。


「だったら…うんと楽しい夜にしましょう!」



ジョージは半ば呆れた顔をして、ため息をついた。


「ね?さぁ…」


アイリーンはジョージの腕を引っ張った。ジョージは引っ張られて二、三歩踏み出し、


「わぁかったよ。そうしよう」


と帽子を抑えて、ぶっきらぼうに言った。