春秋覇王 69 黄准の作戦 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

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V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

「夜明け前に、翠国軍は東、西、南の三方から山上の敵を攻め立てていただきたい」


地図を広げて、黄准が翠の快王と将軍に説明した。


「して、この残る北は?」


「夜のうちに、翠国軍に代わって我が勝国軍が北に布陣を敷きます。我々は白馬に白鎧。雪に紛れて敵方からは見えにくい。敵は、北は包囲網の穴になったと錯覚するでしょう。


「穴をついたつもりの敵を、待ち構えて一網打尽にするって戦法だな?」


健白は満足げに頷いた。


「しかし、それでは、敵は皆勝国軍に集中してしまう」


快王が困った顔をして、黄准と健白を見た。


「かまいません。貴軍は長引く戦で疲れています。敵は皆我々が引き受けましょう」



「そんな…」


「その代わり、全力で三方から追い立てて下さい。敵を一人も漏らさず皆我々のもとへ追い込むのです」




果たして、黄准の作戦は見事に成功した。


北は敵の退路でもあったため、運良く勝軍の刃を免れた敵も、翠の都を脅かすことなく、一目散に国外へ退いた。


黄准が一騎当千の活躍ぶりだったことは言うまでもない。


快王は初めから白馬白鎧で勝国軍に混じり、黄准、健白とともに戦った。王として、援軍だけを矢面に立たせることが忍びなかったからである。


三人は勝利の祝杯をあげた後、すっかりうち解けて、ともに戦の疲れを温泉で癒すことにした。