ふたりのパン屋14 揺れる瞳 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?


「実は俺も移転先か、または支店を駅の向こうで探してんだけどね」


「そうなんだ」


もしも、麦さんがひとりで上手くやれなくて、俺が今より広いところを見つけられたら…

麦さんに譲ってもいいし、あるいはパン屋の一角を麦さんに貸したっていい。


いろんなアイデアが浮かび上がって、頭の中でシュミレーションしてみる。





ふと視線を感じて振り向くと、麦さんの熱い眼差しにぶつかった。


ほんのり目の周りをピンクに染めた麦さんが首を傾げて、ゆっくり言った。


「なに…考えてたの?」



モヘアのニットはカジュアルなのに、広く開いたVネックの胸元がセクシーだった。



「ん?店の将来…」



胸元の小さなネックレスが光る。



「…だけ?」


ナチュラルなメイクだけど…崩れてないな。そういや、一回化粧室に行ってた。


俺は頬杖をついて、麦さんを見る。


「と…麦さんの夢を実現させられる可能性」




麦さんの瞳が揺れて、フッと俺から目を逸らした。


カウンターの上のお銚子を軽く持ち上げて、


「…もう…飲めない…」


って言った。



「…手伝ってあげるよ」


俺は、麦さんにお酌をしてもらって、彼女が残した日本酒を全部飲んだ。