「キャッ!」
「おっと」
アクセルを踏んでもタイヤが空回りする。
「はまったな」
と呟いて、バックからドライブにチェンジしてアクセルを踏む。
でも、やっぱりタイヤは空回りする。
何度かトライしてみてから、先生がまた雨の中に出て行った。
……。
不安しかない…。
でも、最悪JAFを呼べばいいよね。
先生が車に戻って、タオルで濡れた頭や体を拭いて、携帯を取り出す。
携帯の画面を見て、顔をしかめる。
「圏外か」
「ええっ⁇」
あたしも自分の携帯を見る。
確かに圏外だ…。
「ハックション‼︎」
っていきなり先生がくしゃみをした。
「大丈夫ですか?先生…びしょ濡れ…」
「ごめん。ちょっと…着替えていいかな」
先生が首を傾げて尋ねる。
え?ここで?
思わず、全身びしょ濡れの先生を見つめる。
「は、はい…どうぞ…///」
先生がシャツの裾に手をかける。
あたしは、くるっと運転席の宝先生に背中を向ける。
先生がバッとシャツを脱ぐ音がする。
…っていうか…
うわっ…///
み、見ちゃった…。
だって助手席の窓に映ってますよ先生。
あたしは俯いて目を伏せた。
すごい…。
すごいマッチョ…。
ドキドキドキ…。
チラッと上目遣いで窓に映る先生の上半身を見る。
先生は裸のまま体を捻って後部座席の鞄から着替えを取り出そうとしている。