嘘 1 条件コンビ@職員室 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

「今日も呼び出してんでしょ?橋本」

って健が言う。


「ああ」


俺は職員室で橋本を待っていた。相談室の鍵は石田先生から預かっている。


「腹痛いっつってたけど来るかな…」


「なに?腹痛?」


「うん」


「そんなんで逃がしちゃダメだよ」


「わかってるよ」


「優しいからねー。条くんは」


って宝。


「でも、橋本さんは気をつけた方がいいよ」


「あ。そだ。おまえこないだ『あの子は難しい』って言ってたじゃん。あれさ、どういうこと?」


「いや…どうって…。彼女嘘つくだろ?」


「「ああ…」」

って俺と健はハモる。


「詰めると逆ギレするし、なかな強情だから」


「なに?音楽でなんかあったの?」


「ちょっとトラブっただけだけど、なんか話通じねーな、ってそんとき思った」


「わかるぅ!」


って俺は身を乗り出した。


「なんかペース狂っちゃうんだよなぁ」


って俺が腕組みして首をひねると、健が肩を抱いて、顔を寄せる。


「それはさー、お前が私情を挟むからじゃないの?」


「え?」


「代わってやろうか?俺が詰めて、吐かせてやろうか?」


俺は健の顔をじっと見返す。


…その方が、いいかもしれない。


そこへ、桜がやって来た。


青い顔をして、俺たちの方を見もせず、無言で自分の席に行くと、タオルを取ってまたすぐ出て行こうとした。


「あ。橋本来るかな?」


って椅子を回して、桜の背中に声をかける。


「…すぐ…来ると…」


って…声がおかしい。


ガタッと俺は席を立って桜のところへ行く。


「どうした?」


って顔を覗き込もうとすると、ぱっとタオルで顔を隠した。


ちらっと健と宝を見る。


健が引き出しを開けて鍵を取り出し、俺の方にそれを投げてよこした。


条件部屋の鍵だった。


俺はそれを受け取ると、代わりにポケットから相談室の鍵を取り出し、健に投げた。


「あとよろしく」


って言うと、健が


「任せなさい」


って椅子にもたれたまま軽く手を挙げた。