噂 5 女を狂わせる何か | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

「若い頃ならまだしもさ…もういい歳したオッさんだぜ?…生徒の惚れた腫れたはいいかげん勘弁してほしい」


いつものバーで条は水割りを傾け、ため息をついた。


「だからさー、さっさと俺みたいに所帯持っちゃえばさー」


「所帯っ⁇」

って条が肩をあげてビックリする。


「なに?」


「お前の口から所帯とか聞きたくねー」

って耳を塞ぐ。


「え?なんで?どういうこと?」


そのとき、ドアが開いて宝が入って来た。


目だけで挨拶して、俺の隣に座る。


「お疲れ」


「上野さん、まだ残ってたよ」


条がピクリと眉を動かす。


「あ、そう」


「話した?上野さんと」

っておしぼりで手を拭きながら言う。

「まぁ…必要最低限?…学校では仕事のこと以外話さないから」


「仕事のこと以外…ね」


宝がマスターから水割りを受け取って、軽くグラスを上げる。


「会うの?これから…」


条が黙り込む。

条と上野さんが付き合ってるということは信憑性の高い噂として生徒の間でかなり広がっているようだった。


条を本気で好きになる生徒は昔から結構いて、思春期ゆえ恋患いの程度が過ぎて問題になることがある。


過去には、条の彼女の所へ押しかけて別れてくださいと言ったり、条にかまって欲しくて、狂言自殺を図った子もいた。


なぜか、俺に惚れる生徒にはあまりそんな子はいない。


条には女を狂わせる何かがあるのかな、とさえ思う。


人を虜にしてしまう何かが…。



「彼女は…難しいねぇ」


って宝が呟く。


「音楽選択だったよな確か」


「うん」


「どうする?リストカットとかされたら」


って俺は宝から条に目を移す。


タン!

条はため息をついて、グラスを置いた。


「…知らねー」


って眉間に皺を寄せてそっぽを向いた。


「そういうわけにはいかないでしょ。学年主任」


ってポンと肩に手を置いて顔を覗き込む。


条が肩に置かれた手を見る。


「イヤな奴だなほんと。人にプレッシャーかけて何が楽しいの」


って俺を睨む。


「プレッシャー⁇お前、プレッシャーなんて感じんの⁇」


ってわざとらしく驚いたら、パシッと手を強く払われた。