噂 2 条の噂 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

保健室から、職員室に上野さんが戻って来た。


「橋本、どう?」


って俺が聞くと、上野さんがチラッと条を見た。


「条先生と話したいみたいです」


「俺?」

って条が数学雑誌から顔を上げる。


「いいよ」


って雑誌を机に投げ出すと、椅子を回して立ち上がった。

ポケットに手を突っ込んでブラブラと職員室を出て行く。



俺は不安そうに条を見送る上野さんの横顔を見上げる。


「なんで条なの?」


上野さんがゆっくり振り向く。


「好きなんですって。条先生が」


って言うと、ため息をついて席に着いた。


「なるほど」


って腕を組んで椅子を回して机に向かう。


担任の上野さんより条がいい、と。


まぁ、担任じゃなくても信頼して話せる先生がいるってのはいいことだ。どの先生にも話せないってよりずっといい。


じゃあ、条に任せて冬期講習の準備でもするか。


すると、佐久間が身をかがめてこっそり俺に近づいて来た。


俺は振り向きもせず、



「なんだよ忍者みたいに」



って…気配だけで佐久間とわかっちゃう自分が悲しい。




「しーっ!」


って佐久間が人差し指を唇にあてる。



「なぁにっ」



佐久間が顔を近づけてくる。



「近い近いっ!」


「耳かしてくださいちょっと!」


「くすぐったいよ!」


「いいからちょっと…」


って声を潜める。


「条先生の噂…知ってます?」


「は?なんの噂?」


「上野先生と付き合ってるって噂…」


「え?誰が言ってんの?」


「生徒たちの噂です。あたし、聞かれちゃいました」


「なにを?」


「二人が付き合ってるって本当ですかって」


「で、なんて答えたの」


「もちろん、知らないって言いましたよ!」


ふぅむ…。