進展 5 喧嘩 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

煙の向こうで、野本がポカンとしているのが目の端に映っていた。


軽くチュッてするだけにしようと思っていたのに、ゆかりの柔らかい唇に誘われるように、その中へ舌を割り込ませてしまった。


ジュッ…と肉の脂が落ちて煙が立つ。


ゆかりが必死に抵抗するのが憎らしかった。


野本に見られるのがそんなに嫌なのか。


俺は角度を変えて何度も深くゆかりの舌や唇を吸った。


「…肉…焦げちゃいますよ?」


って言って、野本が俺たちの皿に肉を取り分けて、ガタッと席を立った。


ゆかりに胸を強く押し返されて、唇が離れた。


「帰ります。お邪魔しました」


野本はテーブルに視線を落としたまま、俺たちを見ない。



「…後片付け、お願いします」


「…ああ」


「…迎えには来ません」


「わかった」


「失礼しました」


って鞄を持つと足早に玄関に向かった。


バタン!


ドアが閉まった。


玄関の方を見ていたゆかりが、ゆっくりとこっちを向いた。


俺はゆかりに微笑みかけようとして、顔が固まった。


ゆかりは怒った顔をしていた。


「バカッ!」


パチンッ!

ってゆかりの平手が飛んできた。


「先生がそんなデリカシーのない人だと思わなかったっ」


なんだって⁇


「デリカシー無いのはどっちだよ⁇のこのこ俺ん家まで上がって来て飯食ってさ」


「ちゃんと食べたら帰るに決まってるじゃない!何もあんなことしなくてもっ」


「だってあいつが、何するんだなんてふざけたこと聞くからっ。決まってるだろ?付きあってる男と女が、普通、何するかっ」


「普通じゃないじゃん」


「は?」


「普通じゃないじゃん。あたしたちは普通の付き合いじゃないじゃん。だから先輩が、あたしたちがそんな関係だって…」


「言ってなかったの⁇」


「……」


「え?まさか、俺と付きあってるって言ってなかったわけじゃないよな?」


「…だって…」

ってゆかりが目を泳がせる。


「は?だってじゃねーよ。ふざけんなよ。何考えてんだよ。こっち向けよ」


頭来たぞ。どういうことだよ。何なんだよいったい。