離れ離れになる前に 10 恋人繋ぎ | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

飛行機が離陸してしばらくすると、健ちゃんが窓にもたれて寝息を立て始めた。

ガタガタと硬い窓にあたる頭が痛そう…。


あたしは、自分の肩に健ちゃんの頭をもたれさせようとして、そっと健ちゃんの頬に手を当てる。


「…ん…?…」


って健ちゃんが眠たそうに薄眼を開ける。


「…ごめん…起こしちゃった?」


って言いながら、頭をあたしの肩の方に引き寄せると、体をもぞもぞ動かしてこっちを向き、素直にあたしの肩に頭を預ける。


健ちゃん…。
…寝ぼけてるの?


健ちゃんがあたしの肩にもたれたまま、一瞬パッと目を開けて上目遣いであたしを見る。


ドキッ。


それからすぐにまた目を閉じて、眠りに落ちる。


どうしよう…。


健ちゃんが愛しくてたまらない…。


あたしはそっと手を伸ばして、健ちゃんの手に触れる。


あれ?

いつものバングルがない。

つけてないときもあるんだ…。


指先で健ちゃんの手首をなぞり、手の甲に自分の手を重ねる。


すると、ふいに健ちゃんの手が動いて…

無意識なんだろうけど
眠りながら
健ちゃんが

指を絡めてあたしの手を握り返した。




もう、心臓がドキドキして…。




「…ゆかり…」


って、健ちゃんが寝言を言う。



…彼女の名前?


あたしを彼女と勘違いしてるのかな。


それでも、いい。


どうせ、健ちゃんとどうなる身でもないんだから。


健ちゃんが彼女の夢を見て幸せなら、あたしはそれでいい。



健ちゃんの方へ頭を傾げると、健ちゃんの髪があたしの頬に触れる。


健ちゃんの匂い…。


手を繋いだまま、健ちゃんともたれ合うようにして、あたしは目を閉じる。


健ちゃんの寝顔を見て
健ちゃんの温もりを感じて…

どうしてだろう…

さっきまでドキドキしてた胸が、徐々に落ち着いてくる。

緊張と興奮の代わりに
あたしの心を満たしていく感情。

それは

ただ

健ちゃんが好きだという気持ち。

大好きな健ちゃんの幸せを願う気持ち。


どうか、彼女が健ちゃんを幸せにしてくれますように…。


あたしは、祈りを込めてギュッと健ちゃんの手を握り締めた。