指導教官 17 佐久間だから | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

「あたし…初めてです」


「なにが」


「こんなに、誰かに親身に色々言ってもらったの…」


俺の肩にもたれているから、佐久間の表情は見えない。


「大人になると、自分とは違うタイプの人間に、そんな踏み込まないじゃないですか。あ、この人違うって。

間違ってても、教えてくれる人も少なくなって、なんとなく周りから浮いちゃう、みたいな。

佐久間はマイペースだからとか、佐久間は佐久間だからって、ほっとかれるっていうか」


「あぁ」


「こんなあたしに、ここまで付きあってくれて、踏み込んだ意見言ってくれたの、先生が初めてです」



「誤解するなよ。お前。それは、俺がお前の指導教官だからだよ?じゃなきゃ、ほっとくよ」



「指導教官って、普通、男の人との付き合い方まで指導してくれるんですか?」



確かに…。


「普通は、しないな」




「じゃ、どうして健ちゃん先生は佐久間にそこまでしてくれるんですか?」




「それは…佐久間だからだろ」




「え?」


って佐久間が俺を見上げる。



期待に満ちた佐久間のキラキラした目に一瞬たじろぐ。


しまった。



「バカッ。そういう意味じゃなくてっ。俺にとってお前が特別なんじゃない。お前は、みんなにとって特殊なんだよ」




「変わり者ってことですか?」


ってさっきまで輝いていた顔が急に曇る。




「早い話がそうだ」





「ひどいっ!先生のばかばかばかっ!」

って俺の胸をポカポカ叩く。




「酒乱かっお前はっ!」


って佐久間の両手首を掴んで制する。




手首を掴まれて俺を見上げる佐久間の一途な瞳に、ハッとさせられる。



そこから、涙が溢れ落ちる。




「なんで…泣くんだよ…」



まいった…。