ふたりの愛 16 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

マスターとの運命的な再会に縛られていた。一緒に逃げよう、なんて、27年前の約束をそのまま果たそうとするあの人の少年っぽさをほっとけなかった。


准と過ごすあまりにも平和で穏やかで当たり前の日常より、マスターと北海道へ行ってしまうことの方が、本物なんだという気がしていた。


今の自分が、誰のおかげで、満たされているかを忘れて…。

誰があたしの乳房の傷を忘れさせようとして、こんなにも優しく強い愛をあたしに与え続けてくれているかを忘れて…。

ふたりで築いた温かい信頼関係を…取り戻せるだろうか。今さら。

こんなにも、あの人に傾いてしまったあたしを、許してくれるだろうか…。

准と熱い口づけを繰り返しながら、あたしは不安だった。


「准…ごめんなさい…。許してくれる?…ねぇ…あたし…あなたに…」



「許せないな」



やっぱり…。



「向こう向いて」

准があたしの両肩を掴んで、くるっとあたしを向こうむきにする。

准の手が、背中のファスナーにかかる。

ジーッと准が喪服のファスナーを下ろす。

「…准…」

それだけでもう胸がドキドキした。

准がワンピースからあたしの両肩を出し、ストンとワンピースが足元に落ちる。

また准の方に向き直させられて、黒のスリップも脱がされる。

ブラの肩紐をずらし、傷のある方の乳房を大きな手で優しく下から持ち上げてチラッとあたしを上目遣いで見ると、身を屈めて、傷跡に口づけた。


「…准…っ…」

あたしは准の頭を抱く。

准があたしを抱き締めて、ひょいと持ち上げると、そのままベッドに押し倒した。


あたしの上にまたがって、ワイシャツのボタンを外しながら、


「許してほしい?」

って聞くから、あたしはなんだか怖いような気がして、言葉が出ずにただコクコクと頷いた。


准は腕を後ろにやってバッとシャツを脱ぎ捨てる。



「じゃ…俺の言うこときけよ…。何されても、文句言うな」



心臓がバクバクする。



「い…いいわよ。…なにされても…文句言わない。…許してくれるなら…」


まさか暴力を振るったりはしないだろう。


いや、殴らないで、と言った方がいい?ううん、大丈夫よ。准だもん。


ああ…いったい…何を…。


准があたしを見て、フッと笑ってうつむいて首を横に振る。


「な、なに?」


口元を手で抑えながらあたしを上目遣いで見る。


「なんて顔してんだよ。聡美」

「え?」

「怖いの?俺が」

「え…。だって」



「信用ないなぁ」


って優しく笑う。いつものように。

ああ、あたし、この笑顔に救われてたのよいつも。



「冗談だよ」


「え?」


准が、あたしに覆いかぶさり、優しいキスをくれる。


唇を離して、


「もう許してる…。聡美が俺を失いたくなかったって言ってくれたときから…」


「…准…」


それから、あたしの乳房の傷にキスをする。



「この傷を癒すのは、俺だ」




准の力強い言葉は、まるで愛の誓いのようにまっすぐにあたしの胸に届く。



「もう…癒されてるわ」


あたしは准と見つめ合う。



「あなたがあたしを許してくれる前から…」



准と熱いキスを交わす。



「聡美…こんな時に何だけど…」

こんな時に、というのはつまり母親のお通夜の晩に、という意味だろう。


「確かめていいかな…」


「なにを?」


「聡美の…愛を…」


つまり、セックスをしたいってこと。


「…ダメって言ったら?」


准が辛そうな顔をする。


「ふふ。なんて顔するのよ。ダメって言えなくなるじゃない」


「いいよ。ダメなら。我慢できるよ」


「…可愛いこと言わないの」


准がえ?って照れた顔をする。



「…抱いて…准…」


あたしがそう言って、准の首に腕を回すと、准は嬉しそうに甘く微笑んで、あたしの胸に顔を埋めた。