ふたりの愛 11 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

准が明日の告別式までいてくれるというので、近くのホテルを取って、お通夜の帰りに准をホテルまで送って行った。


母の死に動揺はしたけど、もともといい関係じゃなかったので、悲しいとか寂しいとかいう気持ちは、それほど強くなかった。


准がホテルの部屋で喪服の上着を脱いで、ネクタイを緩める。

腕時計を外し、ズボンのポケットから、財布や鍵を取り出して、テーブルに置く。


准の向こうの窓に、夜の街が映っている。


街路樹に白い花が咲いているのが目に入った。


…コブシの花だ。




昌さん、どうしてるかしら…。

あの静かな部屋で、ひとり庭のコブシの花を見ながらネクタイを緩め、コーヒーカップに口をつける昌さんの姿が目に浮かんだ。

約束の期日は明日…。


あたしの返事を待っている。
隠れ家のようなあの家で。
ひとりぼっちで。


「聡美…」

ワイシャツのボタンを外し、胸元を寛がせた准が、ゆっくりあたしに歩み寄る。


そっと、あたしを抱き締める。

厚い胸板。力強い鼓動。



優しい。准は優しい。


なのに、あたしは…。



「准…っ…許して…っ」



あたしは准の胸にすがりついて、泣いた。