期待 5 キス | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

期待してしまう。

お母さんにも言われたのに。

先生の奥さんになれるなんて、思っちゃいけない。そんな期待は必ず裏切られるに決まってる。

こんな何もできないあたしと一緒になろうなんて…いくら優しくても…責任感が強くても…。

こんなふうに、先生の家に遊びに来れるようにしてくれただけで、充分幸せ。

贅沢だよ。

これ以上、先生に期待したらバチが当たる。

なのに…

あたしは、いつから、
こんな欲張りになっちゃったんだろう。


昔は、
目が合うだけで嬉しかった。

おしゃべりできるだけで嬉しかった。

ハグしてくれたら、それだけでもう一生生きていけるなんて舞い上がってた。


なのに…。


先生と目が合って、先生が、ん?どしたの?って顔をする。

こんなとき、体が不自由じゃなかったら、今すぐ先生に抱きついてる。

気持ちはもう先生の胸に飛び込んでる。

抱きついて、胸に顔を埋めて隠してしまえば、もう恥ずかしさを超えられるのに。

そうやって自然に触れ合うことができるのに。

あたしにはそれができなくて…

「抱き締めて」なんて
恥ずかしくて言えなくて…

ただ、

「先生…」

って呼ぶことしかできない。

先生としばらく見つめ合う。

シンとした部屋にお鍋のグツグツいう音だけが響く。


ちょっと酔ってる先生は、目が潤んでて、唇もいつもより赤くて、藍の着物の合わせから少し見える胸元も赤くなってて…。


一度だけ、お母さんが留守のときに、エッチなことをした…あのときに見た、赤いライトに染まった先生の裸の胸を思い出す。


胸がドキドキする。


先生が真面目な顔して、あたしの唇に視線を落とす。

期待に胸が高鳴る。

目を伏せて、あたしのうなじに手を回す。

先生の顔が近づいてきて、あたしは目を閉じる。


先生の熱くて柔らかい唇が、チュッてあたしの唇を包み込むように吸って、離れる。

ああ…もうダメ…///

先生が照れたように微笑むのをあたしは上目遣いで見る。


「なぁにそんな欲しがってんだよ…」

って呟いてまたキスをしてくれる。

欲しがってるなんて言われて恥ずかしくてたまらないけど、恥ずかしがる暇もないほど、先生が何度もキスしてくれるから…

好き が 恥ずかしさを超えて…

キスの合間に

「せんせ…ぇ…っ」

って甘えた声を出してしまった。

すると、先生があたしをバッと奪うように男らしく抱いて、今度は大人の深いキスをくれた。

恥ずかしい。でも大好き。


うなじから髪の間に指を入れて髪をくしゃくしゃにされる。あたしの手を取って優しく先生の背中に回してくれる。

強く抱きしめたいのに、力の入らない不自由な手がもどかしい。

そんなあたしの分までと言わんばかりに、ぎゅっと強く抱き締めてくれる。

もっと強く…もっと近くに…先生を感じていたい。もっとずっと深く、先生と繋がっていたい。

離れられない。離れたくない。

お迎えの時間なんて永遠に来なければいいのに…。