恋の病 2 騙されたのかな 桜サイド | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

条先生に直接メールするのは嫌だったけど、明日の朝、生徒指導部の早番に当たっていたのを思い出して、明日の朝じゃ間に合わないかもと思って仕方なくメールした。

まさか、電話がかかってくるとは思わなかった。

条先生も、きっと気まずいんじゃないかと思ってたから。

だって、どう考えても、おかしい…。あたしが、条先生にあんなに愛される理由が、思いつかない。

あんなに積極的に自分が受け入れてしまったのも、恥ずかし過ぎて、顔を合わせられない。

いったい、どんな女だと思われてるだろう。

雨に打たれたせいか、熱が出て、正直、ほっとした。

まったく、昨夜のことが、整理できない。

そのくせ、思い出しては体が火照る。

先生の愛撫と甘い囁きばかりずっと反芻してる。

風邪の熱じゃないのかな。恋の病は、病院に行っても治らないよね…。

恋…なのかな。

最初から、素敵だな、とは思っていた。

お祭りでナンパされたとき助けてくれた条先生にキュンとした。先生と花火を見てるとき、ちょっとドキドキした。

だけど…こんな急展開。受け入れちゃった自分のせいなんだけど…今さら、戸惑ってる。っていうか、先生の気持ちも全然わからない。


『桜…愛してる』って何度も言われて、ベッドでは信じて先生の愛に酔ったけど…冷静になってみると、信じられない。

だって、先生はあたしの何を知ってるっていうの?

夢の中の出来事のようで…ほんとに何だったの?

体が目的…?

大人の男の人だから…。きっとモテるだろうし…。あたしみたいな地方から出てきた小娘なんて、先生にとっては、簡単にモノにできる…ってこと?


騙されたのかな…。


きっとそうだ、と思った。


そうだと思っていたのに、携帯から聞こえる先生の甘い声が優しくて。ほんとにあたしを心配してくれてるのが伝わってきて…。

昨夜を思い出させる先生の声を聞いてると…熱が…上がりそう。

騙されてるのか愛されてるのかわからなくて、信じたいけど、裏切られるのが怖くて、どうしたらいいかわからなくなって…涙が出てきた。

「聞いてる?」

って先生の甘い声が真近で聞こえる。

「…は…い…」

って涙声で答える。

しばらく、沈黙があった。

ばれたかもしれない。泣いてるのが。

もし今、昨夜みたいに『桜、愛してるよ』って言ってくれたら、あたしは簡単に騙されるだろうな…。

ううん。信じられるかもしれない。信じてみようと思うかもしれない。

先生…。先生を信じたい。…信じさせて。

「…上野…」

期待に胸が高鳴る。


「…ごめん…」


冷や水をかけられたような気持ちになった。

火照りが冷める。…夢から覚める。

あたしを抱いたことを謝ってるんだよね?
それって…。