夏祭り 18 条と桜5 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

条先生が、勢いよくあたしの手を引っ張って、あたしは先生の方によろける。


「なにやってんだっ。…はぐれんなっバカッ」

ってイラついたように、だけど少し甘い…ほんとの彼氏みたいに言われて…あたしはドキッとする。

先生が男の人たちを睨みつける。


なんだ男連れかよ、とかなんとか言いながらその人たちは、それ以上からんで来そうになかった…けど…

先生はあたしの手首をつかんだまま、グングン男の人たちから離れて行く。

先生に引っ張られて、気がつけば、射的の場所まで来ていた。

先生が手を離す。

だけど、あたしが欲しかった二等の景品は、もうそこにはなかった。

先生の視線を感じて、あたしは先生の方を向く。

目が合った瞬間、先生は顔をしかめてそっぽ向く。




「…花火…見にいく?」

ってあたしを見ずに言う。



「…はい…」


「こっち」


「はい」


あたしは、先に立って歩く先生の背中を見つめる。


「仕事中」って言った…。巡回時間が終わったら、取ってくれるつもりだったのかな…ひょっとして…。


「あの…すみません。…さっき…あんな呼び方してしまって」

あの人たちを確実に振り切りたくて、彼氏とかに見えた方がいいと思った。先生には失礼だったけど。

だけど…それだけじゃない。

険しい顔してこっちに向かってくる先生に、すがるような甘えたいような気持ちが、あたしに、先生を「条くん」って呼ばせた…。

先生に、助けて欲しかった…。


先生が振り向いて、

「はぐれんな」

とだけ言って、また歩き出す。


あたしは、小走に先生に追いついて、今度ははぐれないように、そっと、先生の浴衣の袂をつかんだ…。