ミッション 5 ハイヒール | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

「はい」

うわっ。つっけんどん。


「あの…今…フリーなのかな…」


ののちゃんが立ち止まる。キッと眉をつり上げる。


「もう新しい彼氏できてそうですか?」

「え?」

「そんな風に見えます?」

「いや…」

「ここでいいです!さよならっ…」

って駆け出して数歩のところで、ののちゃんが不自然に立ち止まる。



俺は駆け寄る。見ると、ヒールが側溝の蓋の隙間に嵌まってしまっていた。

ののちゃんが真っ赤な顔して、足を抜こうとしている。


「ちょ…ちょっと待って!」


俺はののちゃんの足元に跪く。華奢なハイヒールに手を添える。


「一回脱いで」

ののちゃんが靴を脱いで、片脚をあげたまま、俺の肩に手を置いてバランスを取る。


俺は嵌まったヒールを少しずつ動かして丁寧に取る。


「はい」

ってアスファルトの上に靴を置く。

ののちゃんの足が俺の目の前でスッと華奢なハイヒールにおさまる。

ののちゃんが俺の肩から手を離す。

俺は跪いたまま、ののちゃんを見上げる。

ののちゃんが照れた顔で俺を見下ろしている。


そのとき、突風が吹いて、白いワンピースがふわっと持ち上がった。ののちゃんの太腿が露わになる。


俺は一瞬目を見開く。しっかり見てしまってから、慌てて立ち上がる。


ののちゃんは片手でワンピースを押さえながら、もう片方の手を肩にやってずり落ちそうなバッグを肩にかけ直す。

すると今度は後ろがめくれ上がって、慌てて後ろを押さえる。肩からバッグがずり落ちる。

顔を真っ赤にしてバタバタやってるののちゃんが可愛くて可愛くて、俺は笑いながら、

「鞄、持とうか?」

って手を差し出す。


「大丈夫です!ありがとうございましたっ失礼しますっ!」

ってなぜか体育会系な挨拶をして、ののちゃんはパタパタと駅に向かって駆けて行った。

俺は腕を組んでにやけながらののちゃんの後ろ姿を見送る。


「手ぐらい…繋ぎたかったなぁ…」


強い風にシャツがはためく。


「あ。そだ。ミッション完了、報告しとこ」

って俺はズボンのポケットから携帯を取り出して、健くんに電話をかけた。