ったく…条くんのせいだぞ。健くん潰れちゃったの。なのに、俺はまだ飲み足りないってバーに残って、「宝、送ってけ」だって…。
ジーッて虫の声が聞こえる。
生暖かい夏の夜風。
「宝ぁ~…」
「もうしゃべんないでよ。重い」
「関係ねーだろーっ」
って首を締められる。
「ちょっ!やめろよ~落とすぞっ」
「条のヤツさ~あんなこと言ってっけどさ~」
「うん」
「あいつだってさー…佐倉のこと一生面倒見るつもりだったじゃねーか…」
「留学の話?」
「じゃなくて、留学の話がポシャった後…佐倉と、最後に会った日。条が佐倉にキスしたって言ってただろ?」
「…ああ」
「あんとき、あいつ佐倉を引き取る覚悟してたと思う。…そういうヤツだよ。じゃなきゃキスしねーよ」
「ふぅん」
「…どっちが真面目なんだよっ。抱いてりゃよかったとか言ってますけどねー、まず抱かないよ。賭けてもいい。
ああ見えてあいつはねー、その場の勢いで女抱いたりしないのっ。悲しいかな先を計算しちゃうの。
大事にしすぎて、気がつけばいい人になっちゃってたりすんの。案外バカなのあいつ。」
「あ、そう」
「聞いてる?」
「聞いてるよ」
「宝~…」
「なーにっ」
「処女にも性欲ってあんのかなー」
「な、な、なんだよいきなりっ///」