忘らるる身をば思はず誓ひてし 3 | 上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

上目遣いのけんちゃん先生 V6カミセン 小説

V6の三宅健と森田剛と岡田准一をイメージしたイケメン教師が、今どきの女子高校生たちと繰り広げる学園ドラマ。ドラマの進行の合間に出てくるけんちゃん先生の古典講義は勉強にもなる?

「まあ、ちょっとこの歌詠んでみようよ。

…まず、忘らるるのとこだけど、ちょっとここ要注意。普通は下二段動詞なんだけど、ここでは古い活用の仕方で、四段に活用してるのね?

で、るるは?何の助動詞?ここではどういう意味?」

「尊敬?」
「受身ー」
「可能!」
「自発ー?」

「全部言うなよっ。どれか当たるだろっ。恋の歌だよ?受身受身。忘れられるんだよ。忘れられるわが身って意味ね」

「じゃあ、別れの歌なのー?」

「そ。あなたに忘れられるわが身、自分だね…をー、は強意の係助詞「は」が濁音化しただけ。自分のことって強調してんの。」

「なんで強調してるんですかー?」

「後を詠めばわかるよ。思はずは、何とも思わない。自分のことは、どうでもいいってことね。あなたに忘れられて、つまりフラれて、捨てられてー」

「先生、ひどーい」
「どんだけ言うの?」

「いや、別に俺が捨てるわけじゃないだろっ」

「でも、ひどい」
「右近ちゃんかわいそう」

「はいはい。すみません。…でね」

「うわっ流してる」

けんちゃん先生が照れ笑いします。

「自分はフラれて辛いけど、そんなことはどうでもいい、と。

こっからだよ、こっから!

次、誓ひてしからだけど、誓ひてしは、神に誓ったって意味。何を誓うの?恋の初めに誓うことといえばっ?」

「浮気しない!」

「おおっ!近いっ。もう一声!」

「絶対しない!」

「あはは。絶対って、いつまで?」

「ずっと!」
「一生!」

「いいねー。そうだね。一生一緒ってやつだね?あなたを永遠に愛しますって…」

ヒュー♪
「きゃーっ♡」
「もっかい言ってー♡」

「言わないよもうっ!」

「先生、照れてる」「キャハハ。顔赤い」
「可愛い~♡」