目覚めると元の時代に戻っていた
《なぁ~んだ 夢かっ!》
そう思ったのだが ちと様子が違った
普段どんなに疲れていても
必ず寝室で眠っているのに
目覚めた場所はソファーの上
そしてテーブルの上には
覚えのないコンビニの袋
中身を覗いてみると
なおさら買った覚えなどないものばかり
スマホの履歴を確認すると
確かに俺からの着信が残っていた
さらにテーブルの上には
俺が説明した内容がきちんとメモされた紙が…
《入れ替わったのは事実のようだ》
メモ紙をながめていたら
ふと、これまでの失敗を思い出し
忠告しておきたかった事があふれでてきて
メモを残しておけばよかっただろうかと
少しばかり後悔したのである
時計に目をやると 1月8日 23:30
せっかく休みにしたのに1日が終わろうとしてる
取り立てて予定はなかったから
損をした気分にはならず
むしろ摩訶不思議な1日を過ごして
退屈せずに済んだのかもしれない
おそらく過去の俺も
電話を切った後すぐに寝てしまったのだろう
未来の曲を聴くことが出来ず
さぞかし残念だったことだろう
俺は今日1日の出来事を
しっかり覚えているけれど
果たして過去の俺はどうなんだろうか?
記憶のない状態で戻ったのか?
そうだとすると
テーブルの上に置きっぱなしにしてきた
サングラスが気にかかる
昼間の長電話の事もあったし
さすがにつながるとは思えず
電話をする気分になれないまま
遅めの夕飯と入浴を済ませ
ベッドに潜り込んだのであった
翌朝目が覚めると またもや
景色が違っていた
《今日もかよぉ~~》
半ばあきれた気持ちのまま
洗面台に向かい鏡を見ると
そこに映し出された顔は…
白髪のない若い顔の俺だった
おしまい