【幻想物語 ガイア過去編 partⅠ】 | 毎日きびきび

毎日きびきび

遂に大学生。
気を引き締めていきたいですね。

これまで出会えた全ての人に感謝を。
これから出会っていくであろう全ての人に感謝を。

復活!!



休止していた【幻想物語】、遂に復活です!


努力の末の文才を見よ!!ww

※あまり期待しないで下さいwww





さぁ、ガイアに秘められた過去がいよいよ明らかに・・・

同時に、ガイア㊙の家族構成も・・・!?




ではでは、スタートですо(ж>▽<)y ☆



※今回、魔法はほとんど出てきませんw








幻想物語


ガイア過去編 partⅠ


Back to the Past-仲間なんていらない-



 アポロン戦が終結してから、3週間が経った。

 アポロンが送り込んできた軍隊により壊滅状態となった都市の復旧作業は順調に進み、また、地下シェルターに避難していた国民も、それぞれの国へと戻っていった。



 世界政府本部は、創立史上類を見ないほど慌ただしくなり、職員は、連日残業に追われる日々を送っている。

 無論のこと、部隊長であるライナ達もまた、世界各地に駆り出されている。

 全てが順調に、不気味なほど順調に進み、世界は着実に、元あった景観を取り戻しつつある。

 廃墟と化した街並みはビル群へと変わり、荒廃した大地には草木が芽吹き、人々の砕けた心の穴は少しずつ塞がっていく。

来るべき、完全復興の時のために。

世界は、秒針を刻み続ける。

淡々と。淡々と。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 ガイアの姿が、ライナとレナがかつて誓いを立てた河原にあった。

景観は言うまでもなく夕焼けで、水平線を紅く染めていた。

温かみを持った、全てを包み込もうとする光が、ガイアに深く沁み渡っていた。

揺らぐことのない視線は、沈みつつある夕焼けに注がれ、深い哀愁が、心を覆っていた。

「夕焼け、か・・・・・・」

 呟いたガイアの表情には、笑みの類はなかった。代わりに、時折見せる孤独が、夕焼けとは不釣り合いで、それ故、その孤独が余計目立って見えた。

心の端に何かがひっかかるような、妙な感覚だった。それが綺麗なものなのか、はたまた汚物のように汚いのかは、ガイア本人にも分からない。

ただ、たまらなくモヤモヤした感覚が、今の自分の中にある深い哀愁に関わっていることだけは、嫌でも分かっていた。


「ここ、夕焼けが綺麗なんだよな」

 腰掛けたガイアの頭上から、突然言葉が下りてきた。誰なのかと思ったが、その声の正体を、ガイアはよく知っていた。

 振り返らず、応える。

「知ってるよ。だからここに来てるんだ。ライナ君は?何かに浸りに?」

 いつもと違う、どこか余所余所しい物言いのガイアに、ライナは少し首を傾げた。

訝しげな表情で、背を向けたガイアに訊ねる。


「いや?ただ、お前を探してたんだ。イメルダさんが、お前に話があるってさ」

「あぁ、それで。そうか・・・・・・」

 頷きはしたものの、ガイアの視線は、夕焼けから外れない。寂しさのような、孤独のような、虚しい感情が、その声には込められていた。

 動きそうにないな。ライナはそう判断し、ガイアの隣に腰を下ろした。

 少しくらいなら、イメルダ総司令も大目に見てくれるだろう。今のガイアは何かがおかしいし、ガイア本人はそこから動こうとしない。なら、今は無理に動かすべきではないだろう。


「何かあったのか?」

「えっ?どうしたの?」

「今日のお前、何か変だぞ。何か、前のお前みたいだ」

「前の僕?」

 ガイアの顔に、不快さが垣間見えた。

「あぁ。高校1年生の時、俺とお前が初めて会った時も、そんな顔してた」

「そうかい?フフ・・・・・・。そうかもね」

 消え入りそうな声で、微笑を浮かべたガイアは、ライナの予想を肯定した。

(まったく。ライナ君には全部お見通しか・・・)

 諦念がガイアの中にポツリと生まれた。観念したように、口を開く。

「夕焼けを見てるとね、忘れさせてくれるんだ」

「忘れる?何をだ?」

 ガイアが怪訝そうな苦笑を浮かべているにも関わらず、ライナはおずおずと訊ねてくる。

 ある意味でライナの長所だろう。この、他人の心ごと自分の中に引き込もうとする態度は。

 ガイアは一瞬答えるかどうか、思考を巡らせた。

 僅かな間が空き、辺りに静けさが立ち込める。

 その静寂を破って、ガイアは答えた。

「絶望。そして、憎悪」

 ライナは、息を呑んだ。さっきまで柔和な表情を――浮かべているかどうなのか、判断しかねるものだったが――浮かべていたガイアの声色は、この上なく冷たく、恐ろしかった。

 まるで、ライナのことなどどうでもいいと言うような、気味の悪い疎外感が、その言葉には乗せられていた。


「絶・・・望?憎・・・悪・・・?何だよ、それ・・・」

「知らないのかい?この世に嫌気がさし、生きる気力をなくしたこと。それが絶望。誰かを死ぬほど恨み、殺してやりたいと思うほど憎む。それが、憎悪さ」

「そ、そうじゃねぇよ。何で今のお前にその感情があてはまるのか、って聞いてるんだよ」

 一瞬面食らったライナは、少し威圧的な態度を見せる。ここまで謎なことを言われては、ライナの矮小な脳は処理能力を超えてしまう。自分が理解できる範疇で、物事を進めたかったのだ。


「じゃあ逆に聞くよ。何でライナ君は、僕に『絶望』や『憎悪』があてはまらないと思ったんだい?」

「何でって・・・・・。今までのお前を見てたら――――」

「今までの僕?それって、君と僕が出会ってからのことだろ?」

 出会う以前に何かあった。そのことを暗示させる言い方で、ガイアはライナの言葉を遮った。

まるで、気付いてほしいとでも、言いたげに。


「出会う前に、何かあったのか・・・?」

 ガイアの誘導尋問に、ライナは単純にも引っかかってくれた。

しめたと言わんばかりに、ガイアは続ける。

「あぁ、そうさ。君に出会ってからも、それは変わらない。少しは薄れたけどね。それでも、その二つの感情は、僕の中から永遠に消えることはない」

「何があった?お前の・・・・・・過去に・・・」

 触れてはいけないものに触れているようで、ライナは後ろめたさを感じていた。それでも、ライナは訊ねたのだ。知りたいという好奇心が、知りたくないという後ろめたさに打ち勝ったからだ。


「覚悟は?」

「は?」

「知る覚悟、だよ。この先何を聞いても、今までと変わらずにいてくれるかい?」

 自分から話を振ったくせに、とガイアを咎めたが、そんなこと今はどうだっていい。

 ただ黙って、頷いた。




「全ての発端は、今から11年前の、“今日”。その出来事で絶望を知り、“その後”、憎悪を知った」

 11年前というと、ガイアは7歳のはずだ。年齢的に見れば、まだ小学1年か2年生。あどけなさが残り、大人ぶってはいても、幼児的な行動を取ってしまいがちな時期だ。無論、ライナがそうであったように。

 語り出したガイアは、止まらなかった。ただ無心で、言葉を紡ぐ。

 今まで誰にも語らなかった事実を、語り出した。

 開けてはいけなかった禁断の扉が、ゆっくりと開いていく。










「僕はね、11年前の今日、家族を失ったんだ。たった一人を残して、ね」









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 夕焼けが、街並みを紅く燃やしていた。煌々と。明々と。

赤く染まった街道を、4つの影が歩いていた。2つは大きく、残る2つは小さい。
 父と母、そして兄弟だ。笑顔で歩く4人は、明るく、微笑ましく、睦まじかった。

「ガイア、学校は楽しいか?」

 唐突に、無精髭を僅かに生やした、白髪交じりの男が口を開いた。ガイアの父、レイジュ・アルファイド。それが、彼の名だ。繋がれた右手の先には、左手を高く上げる少年がいた。

 灰色の髪を冷たい風になびかせる、ガイア・アルファイドだ。無垢な、穢れ一つ無い笑顔には、11年後のあの姿は欠片も見られない。まるで別人を連想させるかのように、このガイアは美しかった。

内面的な、純粋さが。外面的な、屈託のなさが。つまるところ、全てが。


「うん!すっごい楽しいよ!こないだね、こないだね!『火柱陣(フィアルデ)』が使えるようになったんだよ!!」

 満面の笑みを振り撒いて、ガイアは父に自身の成長を告げた。

「本当か!?ランク4の魔法をもう・・・。ガイア、お前は俺以上の天才だな」

 ハハハと大声で笑うレイジュは、ガイアの髪をもう片方の手でクシャクシャとしながら、頭を力強く撫でた。ガイアは、父に褒められたことがよほど気持ち良かったのか、エヘヘとにやけた顔を作る。

 その様子を、背の小さな男の子と手を繋ぐ女性、リリア・アルファイドが、クスクスと笑い声を上げた。

「そりゃそうよ。だって、アナタと私の子でしょ?将来は世界政府総司令になるかもねー?」

 冗談めいた言い方を、背の小さな男の子は真に受けたのか、目を丸くして大声を上げた。

「ホント!?お兄ちゃんすごいの!?ねぇ、すごいの!?」

「そうよ。お兄ちゃん、とってもすごいのよ。だからアッシュも、負けてられないねー」

 母の左手から、弟のアッシュ・アルファイドに温もりが伝播する。その温もりを感じ取ったのか、アッシュは鼻の下を軽く擦り、意地悪い表情を浮かべる。


「うん!僕、お兄ちゃんよりすごくなる!」

「何言ってるのさ、アッシュ。アッシュなんてまだ3歳じゃん。僕の方が4つも上だもんねー」

「へへーんだ!お兄ちゃん知らないのー!?愛は年の差を超えるんだよー!!」

 どこで覚えたのか、3歳児アッシュは場違いなことを叫んだ。何が愛なのか、レイジュとリリアはお互いの顔を見合わせ、苦笑した。

「だったら僕の勝ちだもん!僕の方が愛の力は大きいもんねー!」

 大人の2人には理解できない何かが、この兄弟にはあるようだ。見事にシンクロしている。

兄弟というのは、思考回路も似るのだろうか。負けず嫌いな性格がそっくりだ。


 髪、瞳、一人称。一見すると双子のように思われるほど、2人の類似点は多かった。


 足取りは軽く、温かな家族の模範が、そこにはあった。

それ故、誰も思わなかった。誰も。誰も。





 この、幸せな時に、簡単に終わりが来ることに――――。





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 ガイアはそこで、一度話を切った。

ライナに心の準備をさせるためなのか、はたまた自身の心の整理をしているのか。恐らくは、後者だろう。

今まで誰にも話さなかった過去を、こんな形で打ち明けるのだ。

心に余裕を持ち、覚悟を決めなければできないことだ。

 冷たい風が、ガイアの頬を撫で、過ぎ去っていく。


その風は、ガイアの火照った顔を冷ましてくれた。大きな溜め息を零し、深く息を吸う。

大丈夫だ。心は落ち着いている。精神状態も平穏なままだ。


「あれは、ひどい土砂降りの日だった。僕が興味本位で使った魔法が、家族の命を、奪ったんだ」

「お前、が・・・?」

「そう、僕が。僕が、家族を殺したんだ」


 そう言うガイアは、ひどく落ち着いた声色で、話し始めた。


淡々と。淡々と。






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「これ、何だろう?読めないや」

 父の書斎に忍び込んだガイアは、ある本に心を奪われた。タイトルは、どこか異国の、それも古代文字で書かれているらしく、7歳のガイアにはさっぱり読めなかった。というよりも、読める人間を探すほうが難しいだろう。

 古代ルケディア文様と呼ばれる特殊な文字は、それを解読できる人間が極端に少ないことから、『絶滅文様』とさえ呼ばれている。

 しかしそれでも、何故かは分からないが、その本はガイアの幼心を刺激したのだ。

 


 古ぼけた茶色の本を持って、ガイアは自分の部屋に駆け込んだ。

無論のこと、父や母には秘密だ。バレればこっぴどく叱られてしまう。以前、父の書斎に入っただけでも叱咤されたのだから、本を持ちだしたことがバレれば、叱られるどころでは済まないだろう。


「これ・・・・・・魔法かな・・・?」

 適当に開いたページには、見知らぬ魔法陣が描かれていた。傍には詠唱らしきものが書かれていたが、それは判読できなかった。

 だが、それで充分だった。魔法陣さえ分かってしまえば、詠唱などどうとでもなる。

ガイアは父から、そういう教育を受けてきた。魔法陣だけで詠唱を判断する、『独力詠唱法』と呼ばれる方法を。

 まだ完璧に使いこなせないそれを、ガイアはひとまず試してみることにした。

幼い子が物を何でも口に運んでしまうように、ガイアにとっては魔法がそれに代替わりしただけだ。




 本を片手に土砂降りが振り続ける庭に飛び出て、落ちていた木の枝を手に取る。

濡れた土に絵を描くのは、至極簡単だった。泥団子を創るのが簡単なように、塊になった土を抉るのは容易だった。


ただ無心に、本の通りに魔法陣を描いていく。時折、本と睨み合いを重ねながら。



「でき・・・た・・・!!」

 感無量という言葉を、ガイアは初めて知った。やりきった達成感。やり終えた爽快感。それが、たまらなく心地良かった。

髪や服はびしょ濡れになっていたが、それすら気にならないほど、ガイアの心は喜びに満たされていた。


 だが、ガイアの好奇心はこの程度では静まらない。

木の枝を放ると、本を再度開いた。もちろん、地に描いた魔法陣が描かれたページだ。



 古代文字で書かれた詠唱には目もくれず、魔法陣を脳内で処理していく。構造、内容、特色、全てを魔法陣から読み取っていく。常人には到底できない芸当を、若干7歳でやってのけるガイアは、やはり異常だった。

 生まれもっての天才、という言葉があるが、ガイアはまさにそれだろう。これを天才と呼ばずして、何を天才と呼べばいいのだろうか。


 読み取った内容を、詠唱として紡ぐ。躊躇うことなく、一気に。


「愚弄な傀儡。滑稽な聖者。吹き荒む嵐風。贖う術すら消え失せて、万物全てを我が手中に。一を殺せば万が死に、万を殺せば億が死ぬ。繋がり回る連鎖の雨。途絶えることなく、廻れ廻れ。右が動けば右が動き、左が動けば左が動く。泣き声遠く、縁遠く、離れし全ても、我が手中に。恐れることなき人形は、全ての者に手をかける」


 大きく息を吸い、魔法名を叫んだ。

土砂降りに掻き消されながらも、それは発動する。

 魔法名、『自傷人形(ウォウンド・ドール)』。

“大魔法”に位置するそれは、7歳の子供の手によって、完成した。

轟々と揺れる木が、それを恐れるようにひどく揺れた。



「う、うあああああああああああああ!!!!!!!!」


 体から勝手に溢れ出る魔力は、ガイアの体に激痛をもたらした。

堪え難い激痛が、ガイアを直立不能にしたのは、言うまでもない。魔法陣の中心に倒れ込み、激痛に体をくねらせる。

骨が砕けそうに痛み、引き千切られるように内臓が痛む。

それらは一瞬で駆け抜け、次の瞬間、ガイアの体から“何か”が飛び出した。

飛び出した“何か”は、目にも止まらぬ速度で飛行し、ガイアの家の中に、消えた。





 直後、3つのけたたましい悲鳴が、土砂降りに交じって響き渡った。





薄れる意識の中、ガイアは目の前に誰かが立っているのを本能的に察知した。

顔を上げた先には、全身を黒で覆った大男が、不気味な笑みを浮かべて立っていた。

 そいつは土砂降りの中、聞こえるか聞こえないかの声量で、ガイアに向けた言葉を述べる。

「ありがとう。これで私の魂は、永遠の束縛から解放された」









「な、なんのこと・・・・・・?」

「なに、じきに分かる。その時は、『7つの行灯』の1人として会おうじゃないか」


意味深な言葉を述べた、黒ずくめの男。

その男に訊ねようと声を出そうとしたが、潰れてしまったのか、もう出なかった。

代わりに、掠れた嗚咽が、虚しく零れた。

直後、ガイアの意識は、完全に途絶えた。






ガイア過去編  partⅠ  完





7歳のガイア可愛いよww

アッシュも可愛いよww


今はあんな感じになってしまったガイアですが、昔はあんなに純真で、純粋で、純朴だったんですよww




今回、ガイアは何かに取り憑かれたみたいになってました。


ザ・謎ですよねww


いろいろ伏線とか張りまくりましたwww

しかし、この伏線を回収するのは一体いつになるのやら・・・・・・orz



文章力、ちょっとは上がったよね・・・?

頑張ったもん・・・w



さて!

ガイア過去編はまだ終わりませんよ!!


全3話構成の予定ですww



『自傷人形(ウォウンド・ドール)』とは如何なる魔法なのか?

ガイアが知る『絶望』と『憎悪』とは?



続きは、partⅡとpartⅢでヾ(@°▽°@)ノ




まぁ、いつになるか分かりませんけどww





では、あでゅーо(ж>▽<)y ☆






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