風の最強魔法!?
前回、何やら週刊連載のバトルマンガのような終わり方で終わりましたwww
さぁ、ライナの言う、『風の最強魔法』とは何なのでしょうか?
いきなりぶっ放すところから【第3話】はスタートします
スタートです
幻想物語
第6章 第3話
Anger of the strongest wind and Shinto priest
最強。
それは、人類が長きに渡って求め続けたもの。
しかし、未だにその輝かしい栄光が見つからないものもある。
魔法も、そのうちの一つだ。
何を以って最強とするのか、その審議に決着がつかないのだ。
例えば、炎の最強魔法とは何か、という疑問に、一概に答えを出すことはできない。
相手を焼き尽くす、炎撃魔法が最強なのか、相手を融解する融解魔法が最強なのか、相手を木端微塵にする爆破魔法が最強なのか、誰にも分からないからだ。
水の最強魔法は何か、という疑問にしてもそうだ。
超高圧水流で相手切り裂く、流撃魔法が最強なのか、はたまた相手を窒息死させる包水魔法が最強なのか、誰にも分からない。
故に、その話し合いにゴールは見えない。
しかし、炎、水、雷、大地、光、闇の6属性全てで、話し合いが平行移動を続ける中、風属性についての話し合いは一瞬で終結した。
というのも、風属性が他の6属性と比べて異様なほどシンプルな属性だったからだ。
風属性は、一部の移動魔法を除き、『相手を破壊する』ことに重点を置いた魔法だ。
嵐撃煉鶯双牙(ストーミール・エルブラスティアン)や真嵐龍鶯双牙(ストール・ディ・ドラグラスティアン)などの嵐風魔法(ストームシリーズ)はそれに最も当てはまる魔法と言えるだろう。
そして、ライナが現在放とうとしている『最強』は、前述の2つと同じ嵐風魔法(ストームシリーズ)だ。
ライナの周りの空気が超高速で旋回し、ゴオゴオと音を立てている。
地面の砂を巻き上げ、台風のような上昇気流を発生させながらその大きさを巨大にしていく。
それが如何に規模が巨大な魔法かは、4大神官の一人であるウィッズには容易に判断できた。
ライナが放とうとしている魔法の危険性を察知し、既に後方へと飛び退いていた。
ライナを中心にして渦巻く風は、辺りのモノを手当たり次第に切り裂いていた。
枯れ木、仙人掌、蠍などの小動物、その他全てをズタズタに引き裂いた。
ライナが言った、『死にたくないなら離れていろ』とはこのことだったのだ。
「ウィッズ、お前にこの魔法について説明してやるよ。この魔法は4年前、エルガという男によって創られた。そして、この魔法を創り出したエルガ本人は、直後に失踪。当時の警察や世界政府は、『禁術創作の責任を感じての逃亡』と判断した。けど、いつになってもエルガは発見されなかった。そして、とある討伐屋が依頼遂行中、この魔法を用いた。そして、そのままその討伐屋は行方知れずになった。そこで初めて世界政府の人間は気づいたらしい。『エルガの失踪は逃亡ではなく、“自身が放った魔法に殺された”のだ』と。そして、術者殺しの魔法として、この魔法はランク10指定を受けた。単体では初めてランク10指定だ。これは、嵐のレベルじゃねぇぞ。」
ストーム・ディオグレイ・ワイバーン
「神嵐飛龍双牙!!!!!!」
ライナが竜巻の中心で魔法名を叫んだ直後、ライナの姿は目視不可能になった。
ライナを中心に渦巻く風は、巨大な飛龍の姿を形取り、辺り一帯のモノを根こそぎ巻きあげていった。
「なっ・・・・・!!」
巻き上がる粉塵から目を庇いながら、ウィッズは目の前で起こっている出来事にただただ驚嘆していた。
「その魔法・・・・『術者殺し』じゃないんですか?アナタ・・・・死ぬ気ですか?」
先ほどのライナのセリフを頭の中で整理したウィッズが、嘲笑したようにライナに尋ねる。
「あぁ?俺がンな犬死みたいな真似するかよ。体の周りに防御魔法を発動させてんだ。死なねぇよ。」
辺りのモノを巻き上げ、凄まじい大きさにまで成長した風の飛龍が、突然雄叫びを上げた。
雄叫び、といっても、実際は風が舞う音にすぎない。
が、それはあまりにも生き物の鳴き声に類似するものだった。
「ゴアアアアアアアアアアアァァァァァオオオオオオォォォ!!!!!!!!」
大地をも揺るがすその『声』に、ウィッズは思わず身震いをした。
人間は自分より遥かに劣る劣等種だと思っていたウィッズにとって、これほど屈辱的なことはない。
「何をしようと無駄だッ!完全無欠の『反撃相殺』の前に、敵はない!」
バッと左腕を前に突き出し、反撃相殺の構えをとる。
「喰らえぇぇぇぇッ!!!!!」
ライナが天に掲げていた両手を前方目がけて振り下ろした直後、鎌鼬と云うべき風の塊がその姿態を動かした。
旋風と轟音と粉塵を持った風が、ウィッズに迫る。
今までは十字架を描くウィッズの反撃相殺だったが、今回は違う。
掌を中心に巨大な円が広がっているのが見て取れる。
本気も本気の、反撃相殺。
ドオオオアアアァァァァァン!!!!!
砂漠の砂を全て吹き飛ばすのではないかと思うほどの爆音が辺りに響く。
巻き上がる粉塵が全て落ち着いた段階で、アスカ達は2人の姿を目視することができた。
地に片膝をつき、肩を上下させるライナと、左腕を前に突き出したまま息を荒くするウィッズ。
術者に跳ね返る神嵐飛龍双牙(ストーム・ディオグレイ・ワイバーン)の影響は相当大きいようだ。
服のいたるところがズタズタに引き裂かれ、そこから血が滲んでいる。
防御魔法を最大出力で放っていて、この状態なのだ。
防御魔法を使わずに神嵐飛龍双牙(ストーム・ディオグレイ・ワイバーン)を放ったらと考えると、本当に恐ろしい。
それに対し、神嵐飛龍双牙(ストーム・ディオグレイ・ワイバーン)を反撃相殺で打ち消そうとしたウィッズも負傷している。
左腕の表面は服が弾け飛び、ズタズタに引き裂かれ、砂漠の茶色い砂を紅く染め上げている。。
血で真っ赤に染まった腕からは、止まることなく血が溢れている。
どうやら、相殺しきれなかったようだ。
「ライナ君ッ!!!」
「ライナ!!」
「ライナさん!!」
大声を上げて、離れていた3人がライナの下に駆け寄る。
初めて、ウィッズに一撃浴びせることに成功したライナは、痛む体を無理やり起こし、ニヤリと微笑を浮かべた。
「どうした・・・・?反撃相殺ってのは・・・・完全無欠じゃなかったのか・・・?」
自身の体が傷ついたことが余程信じられないのか、ウィッズは声を荒げて反論した。
「黙れ黙れ黙れ!!人間風情が、調子に乗るなよ!!!」
パラライズ・スパーキア
「炸雷裂地撃!!!」
量も、大きさも、先ほどとは比べ物にならない雷球がウィッズの体から放たれ、宙を舞う。
「神に背く大罪を、その身を以って知るがいい!!」
ウィッズの合図で、一斉にその雷球が散開した。
バチバチと音を立ててライナ達に迫る雷球が、ライナ達の手前数mの地点で弾けた。
巨大な一枚の壁のように雷球がライナ達に迫る。
エクスティーム・エルウォール
「守護防陣壁!!」
砂の大地をバンと叩き、魔法を発動した。
防壁がライナ達の姿を覆い、防御の体勢に入る。
中央に魔法陣が刻まれた防壁が、雷球からライナ達を守る。
バチバチと火花を上げて、2つの魔法が激突する。
「その程度で、神に抗う気かッ!!!!!」
大地に降り立ったときとは全く違う声色と形相で怒声を上げた。
ミシミシと音を立て、守護防陣壁(エクスティーム・エルウォール)の表面にヒビが走る。
苦しそうな表情でグッと力を加えるライナだが、完全にブチ切れたウィッズの炸雷裂地撃(パラライズ・スパーキア)を防ぐことは叶わない。
あっけなく砕け散った守護防陣壁(エクスティーム・エルウォール)の隙間から、夥しい量の雷球がその姿を現した。
当然、次なる防御魔法など用意できてはいない。
聖なる防壁(エターナル・ウォール)なら確かに防げてはいたが、聖なる魔法(エターナルシリーズ)の発動には膨大な量の魔力(ディーガ)が必要となる。
そう多用はできないのだ。
目の前から迫る雷球を、避ける術も防ぐ術もない。
スローモーションのように見えた雷球が、ライナ達の体に触れる。
4人の体に、激しい閃光と、激痛が走る。
痛みのあまり声を上げる、などということはしなかったが、体を大きく仰け反らせ、苦痛に顔を歪めている。
地に両膝をつき、ゼェゼェと呼吸が速くなっている。
「思い知ったか!!!神に背くということがどれほど愚かな行いなのか!!」
ゲラゲラと下品に笑い、見下したような目でライナ達を睨む。
ライナは、笑っている膝をバンと叩き、痛む体を無理矢理起こした。
「神?お前らの言う神ってのは、大量殺人者のことか?」
圧倒的不利な状況下であるにも拘らず、皮肉を言い、笑みを浮かべた。
その『神』を侮辱する発言は、ウィッズの怒りを臨界点にまで引き上げることとなる。
「図に乗るなと、何度も言ったはずだ!!!!!蟲ケラはどれだけ集まろうと蟲ケラにしかすぎない!!!!!」
このウィッズのセリフに、ライナはフッと微笑した。
「別にいいぜ、蟲ケラで。けど、俺らは蟲ケラは蟲ケラでも、明日を照らすホタルなんだよ。集まれば、どんな暗闇でも照らす、太陽のような存在になれるんだよ!!!!」
「この世で太陽は、アポロン様ただお一人だ!!愚かな種族如きが、太陽を語るな!!!」
「そうよ、アタシ達は確かに愚かな種族かもしれない。けど、アタシ達は常に進化できる。そういった可能性を秘めた種族なの!!」
「あァ、その通りだ。たかだか80年の生涯じゃ、進化もクソもあったもんじゃねェ。けどよ、俺たちは常に変わってんだ。1カ月前より、1週間前より、1日前より、1時間前より、1分前より!!!常に、変わってんだよ!!!!」
「その『変わった』結末が、今の愚かな現状ではないか!!所詮、お前達は口先だけの偽善者にすぎない!!!!」
「偽善者?確かに僕たちは、昔はそうだった。1分前は、偽善者だったかもしれない。けど!!『今の僕たち』は違う!!どんな逆境に置かれていようとも、僕たちは前に進む!!!」
イディンがそう言い終えた直後、突然4人の体から凄まじい光が零れ出した。
4人の切実な願いが生んだ、明日への希望を込めた、光。
「ウィッズ。いくらテメーだろうと、俺達の、この光は消せやしねぇ!!!!」
全員の声が、一つになる。
デーリティ・セカンド
「鬼憑型・弐!!!!!」
ライナが3年前、対レオ戦で見せた、『鬼人』の第2形態、鬼憑型・弐(デーリティ・セカンド)。
ライナにのみ選ばれたと思われたその能力(チカラ)は他の3人にも平等に微笑んだ。
全身へ走ったそのチカラは、収まるところを知らない。
幾らでも、溢れ出す。
純白の衣に身を包んだ白き翼のライナ。
蒼白の水を全身に纏わせた、半人半魚のアスカ。
赤炎の鱗と爪を持つ、半龍のバレット。
黄雷の角と体表を持つ、半獣のイディン。
神々しい光を放つ、4人の『鬼人』。
その光に、一点の穢れなし。
「ウィッズ、これからが、本番だぜ。準備体操は終わったな?」
冷静で落ち着いた口調でそう言うと、一歩、また一歩とウィッズに迫る。
「口だけは本当に達者だなァ!!準備体操!?そんなもの、当の昔に済ませたわ!!!」
グッと腕を後ろに引き、足を踏ん張る。
一撃でライナを終わらせるつもりのようだ。
ソニック
「瞬風!!!」
ヒュン、と風切り音を立て、ウィッズはその場から消えた。
「終わりだ人間!!!」
パラライズ・ナック・・・
「炸雷爆裂・・」
魔法を発動しかけたところで、ウィッズのセリフは途絶えた。
目にも止まらぬ早業で、突如として目の前に現れた、ライナによって。
ライナは、ウィッズは瞬風(ソニック)を使ったのとほぼ同時に、光瞬動(ヴェル・ソニック)を用いた。
地面を踏む、地面を蹴るといった予備動作なしにいきなりその場から消え、移動することができる、移動魔法。
そして、ある一点でウィッズと出逢うと、渾身の力を込めて顔面を殴りつけた。
魔法は、使わずに。
「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!」
渾身の力を込めて右腕を振り切ると、ウィッズの体は勢いを失くし、凄まじい勢いで後方へと吹き飛ばされた。
ウィッズは幾度となく砂地に叩きつけられ、数十m飛ばされたところで、地に伏した。
「これが、俺達の拳だ。もう一度聞くぜ、ウィッズ。準備体操は、終わったか?」
背中で翼をはためかせ、ライナは小声で呟いた。
第6章 第3話 完
スミマセン!!!!!
のっけから謝罪で始まりました、作者のあとがき(?)のコーナー!!
【第2話】の段階で、「次回からは本格戦闘です」と言ったにも拘らず、今回の【第3話】では何やら残念な結果に・・・・・・。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。
そ、それでも後半は頑張りましたよ?
ライナ達の活躍も描きつつ、ウィッズも目立たせる的な頑張りを見せましたよ俺!!
あっ、何やら逆ギレみたいになっちゃいましたね(汗
スミマセン(T▽T;)
次回こそは、次回こそは!!
次回こそは本格戦闘!!!!
対ウィッズ戦は恐らく【第5話】で完結する予定です!!
あっ、もうその終わらせ方も考えているのですが、一部の読者から見た場合、「ふざけんなッ!!」的な感想が出てくる終わり方だと思いますが、そこはご容赦願います・・・・・・
ではでは、あでゅー(ノ^^)八(^^ )ノ